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羞人たち

趣味で書いた羞恥小説 18禁です。

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優香 第十一章 8

「よくおま○こなんて平気な顔して言えるわね、久しぶりに会った友達の前で」

 観客席の好奇に満ちた視線を逃れ、ひと気のない体育倉庫の裏で泣きじゃくっていた優香に千夏が言った。

「まあ一応合格ね。ただ一つ『オナニーして濡れてる』って言うの忘れたみたいだけど」
「ねえもう許して! これ以上もう堪えられない!」
「堪えられない? あら、快感、なんじゃなかったの?」
「それは言わされて、しかたなく……」
「なによ全部あたしが悪いって言うの?」

 そうだ、と優香は言いたかったが、また千夏を怒らせるのが怖いので、

「……そういうわけじゃないけど」

 と曖昧に答えた。

「まああたしも鬼じゃないから、この辺で勘弁してあげたいんだけどね……」
「え? じゃあもう許してくれるの?」
「うん……あたしはね。だけど田崎が……」

 優香はその名前を聞いて青ざめた。修学旅行での一件以来、その教師の存在は優香にとってトラウマになっていたのだった。

「田崎……先生? 先生がどうしたっていうの?」
「実はその田崎がすべて裏で仕組んだことなのよ」
「……どういうこと?」
「つまりね、今までのことは全部、田崎があたしに命令して、いじめさせたことだったのよ」
「田崎先生が……」

 優香はにわかには信じられなかった。きっとまた千夏のでっち上げだろうと思った。が、先程の準備体操の一件(あの急な呼び出し、不自然な公開裁判)のときから、もしや田崎も一役買っているのではないかと薄々疑っているところでもあった。

「なんで? どうして先生が、そんなこと……?」
「事の始まりは夏休みだったの。夏休み中に、あたしが、万引きを見つかっちゃってね。それで学校から田崎が来て、まあそのときはあいつのおかげで何とか許してもらったんだけどね。でも、それからあいつは、その万引きの一件であたしを脅すようになったの。他の教師に報告して会議にかけるぞとか、親に電話で言うぞとか……」
「で、それがどうしてあたしに……?」
「あいつ前々からあんたのことが好きだったらしいのね。で、何とかあんたに近づくことができないものかと、いろいろ方法を探っていたみたいなの。そしてそこに現われたのがあたしだったのよ。つまり、あたしがあんたをいじめているように見せ掛けることで、自分は、立場を危なくすることなく……」

 と、千夏は急に両手で顔を押さえ、わんわん泣き出した(そう優香には見えた) そしてしばらくして泣きやむと、続けて言った。

「つまり、まずあんたの弱みを握って、恥ずかしいことを散々させる。そしてあんたを露出狂にでっち上げようとしたのね。それから、もう充分あんたの信頼をなくしたところで、つまりもう誰もあんたの言葉を信用しなくなったところで、修学旅行で、あんたとセックスを……」
「いやぁぁっ!」優香にとってそれは思い出したくない過去だった。「そのことは言わないで!」
「ごめんね……でも、これだけは言わせて。修学旅行の一件があったあと、あんた、一週間学校を休んだじゃない? それを知ると田崎は、もしかしたらあんたが警察に通報したんじゃないかと、不安だったらしいの。そこであたしに様子を探ってこいと命令したの。そして、あんたがまだどこにも通報してないと知って田崎は一応ほっとした。と同時に、まだまだ証拠固めが足りないとも思ったのよ。つまりあんたが嘘つきの露出狂だっていう証拠がね……」

 千夏の話を聞きながら、優香は、頭の中のさまざまな記憶が一つ一つ辻褄を合わせていくのを知るのだった。そして、始めは疑っていた千夏の話を、段々信じていくようになった。

「それじゃ……それじゃあ今日のこの仕打ちも……?」
「そう、あんたの信用をなくすための……そしてもう誰もあんたを弁護する人がいなくなるように、中学のときの友達まで呼び出して……」
「ひどい……大切な親友だったのに。もうあたしに残った最後の……」 
「すべて田崎の、あの最低な男の計画だったのよ」

 と、優香の頭の中に、この春からの、一連の奇妙な出来事が走馬灯のように浮かび上がる。そしてふと、一つの疑問を抱いた。

「あ、ということは、香織も? 香織も田崎に命令されていたの?」
「え? 香織?」

 千夏は一瞬何のことを言っているのかわからなかった。が、すぐに事情を何となく呑み込み、

「ああ、香織ちゃんね。そうよ、香織ちゃんも、あたし詳しくは知らないんだけど、田崎に何か弱みを握られて、やったのよ」
「ひどい……ひどすぎる! あたしの一番の親友を使うなんて…… あたしもう決心した。もうあの男の思い通りにはさせない。警察にすべて話すわ」
「ダメ! それだけは絶対にダメ! 少なくともいまはまだダメ。いま警察の人に話しても、誰も優香ちゃんの言うことを信じてくれないわ。優香ちゃんにとって不利な証拠が揃いすぎているから」

 そう言われて、優香はいましがた抱いたばかりの決意が早くも揺らいでしまった。それほどまでに自分は堕落してしまったのかと、露出狂としてもう誰もが自分のことを思っているのかと、絶望感を抱くのだった。

「でも、あたしにも考えがあるわ」

 やがて千夏は奈落の底にいる優香に手を差し出すかのように言った。

「なに? 考えって? ねえ、それであたし助かるの?」

 千夏は確信に満ちた表情で、「助かるわ」

「教えて! ねえ、その助かる方法を教えて!」

 優香はもう藁にもすがる思いだった。

「その方法がうまくいけば、絶対に助かるわ。でも、さっきも言ったけど、いまはまだダメなの。少なくとも今日の体育祭は、何でも田崎の命令に従わなければならないわ。でも大丈夫。近いうちにあたしが絶対救ってあげるから。だからつらいかしれないけど、優香ちゃん、今日だけは頑張って堪えて」

 怪しげな宗教を信じる人の気持ちというのはあるいはこのようなものなのかもしれない。優香はもうすべてから見放された絶望のどん底の中で、自分に差し出された唯一の救いの手を、もう疑うことなく掴むしかなかった。実はそれが自分をさらなるどん底に突き落とすものだとも知らずに。

「うん、わかった。あたし、頑張って堪えるわ!」

 優香は決意に満ちた表情で言うのだった。
  1. 2010/10/31(日) 16:54:01|
  2. 優香
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優香 第十一章 7

 加奈、恵子、明子の三人は、観客席の向こうに現われた優香を見つめていた。お尻丸出しの、明らかに人々の反感を買っているその卑猥な姿に三人とも目を見張るばかりだった。そしてお互い声に出して言いはしなかったが、自分たちが優香の知り合いであることを、周りの観客に知られたくという気持ちが心にあった。

 だからやがて優香が、すれ違う人々の嘲笑を浴びながら(みっともない! 恥知らず!)こちらにやって来るのを見ると、すかさず三人とも、顔をそむけ、気づかないふりをした。

「みんな、おはよ……」

 優香は三人の前に来ると言った。

「ああ、優香ちゃん……おはよ……」
「久しぶりだね……今日は来てくれてありがとう……」
「う、うん……こちらこそ、呼んでくれて……」
「……」
「……」

 途切れがちな会話。

 三人とも、優香となかなか目を合わせようとしなかった。いまや三人のすぐ目の前にいる優香の姿、ブルマーの股間に切れ目の入った、そしてその切れ目から恥じらいもなく女性器を(三人にはそれを直視することができなかった)これ見よがしに露出させている、そんな旧友のあられもない姿に、三人は一緒にいると思うだけで恥ずかしくなった。

「優香ちゃん、なんか、しばらく会わないうちに変わったね……」やがて加奈が口を開いた。
「そ、そう……?」と優香。
「うん、なんていうか、その、大人っぽくなったっていうか……」と恵子が言った。
「……」優香は顔を赤らめる。
「その、色っぽくっていうか、なんていうか……ねえ……」と明子が続いた。

 みんな直接指摘はしないが、その言わんとするところは明らかだった。おま○こが見えてると、それぞれ別の言葉で言っているにすぎなかった。優香はすぐにそれを察した。そして、旧友の前で堂々と女性器を晒している恥知らずな自分を認識し、死にたいほど情けなくなった。

 そして、できることならこのまま何の説明もせずに別れたかった。が、千夏がすぐ側に立ってしっかり耳をそばだてていた。命令を破らないかと、ちゃんと監視しているのだ。

 やがて優香はにっこりと笑みを浮かべた。だがそれは少し引きつった笑いだった。そして口を開いた。

「ああもしかしてこの体操着のこと?」と言ってブルマーの切れ目、つまり自分の露出したおま○こを指さす。「どお? すごいでしょう?」

 友人三人は互いに顔を見合わせた。

「どおって……てことは、やっぱり自分でやったの?」

 優香は相変わらず引きつった笑みを浮かべながら、

「そうだよ!」

 三人の表情がみるみる変わっていく。

「やっぱり、動きやすいから……?」
「そんなわけないじゃん」
「じゃあ何でそんないやらしい……」と言って恵子は自分で顔を赤らめた。「つまりその……そんな恥ずかしい、いや、おかしな格好を……」
「恥ずかしい? いや全然恥ずかしくなんかないよ。むしろみんなに見られて快感。特に男子が興奮しているのがわかるとね」

 優香は千夏から指示されたキーワードを、一つ一つ、屈辱に顔を歪めながら言っていくのだった。

「快感? ねえホントに快感なの?」
「うん。あとあなたたちみたいなブスがさ……」と優香は心の中で泣きながらこの『ブス』というキーワードを口にする。「あなたたちみたいなブスが、美人のあたしに嫉妬しているのを見るのも快感ね」
「ブスって……ひどい!」
「そうよ、それはひどすぎる!」
「じゃあ今日はそのためにあたしたちを呼んだの?」
「そうよ。それ以外に呼ぶ理由がないじゃない?」
「……」
「くやしかったらあんたたちも、あたしみたいに、おま……おま○こを出してみればいいじゃない。ブスなあんたたちでも少しは注目されるかもよ」

 三人はもう怒りのあまり涙をながしながら、いまや何の友情も感じていない、いやもう憎しみしか抱いていない、相手の女(目の前の、恥さらし、露出狂、女の恥)をじっと睨みつけた。その相手の自慢しているむき出しの女性器も、いまは憎悪の念を込めて見ることができた。

「最ッ低!」
「女の恥ね!」
「いくらブスでも頭のおかしい変態女よりはマシだよ!」
「だいたい中学のときからあたしあんたのことむかついてたんだよね。いつも男子の前でかわいこぶって……」
「心の中ではいやらしいこといっぱい考えてるくせに、妙に真面目ぶって……」
「どうせ中学のときも裏で媚び売ってたんでしょ? いまみたいに、いやらしいもの見せて」
「この人間のクズ!」

 そして最後に、もう怒りの絶頂に達していた恵子が、優香の頬を、思い切りビンタした。

 すると周りにいた観客はそれを見て何事かとざわついた。

「もう顔も見たくない!」

 そして残りの二人を引き連れて帰っていってしまった。

 残された優香は、薄笑いを浮かべながら見つめる観客たちの前で、頬を赤くして、独り呆然と立っていた。

 あんなに仲のよかった昔の友人からも嫌われてしまった…… これでもう、自分には友達と呼べる人間はただの一人もいなくなってしまった。

 秋の風がむき出しのおま○こを冷たく撫でた。
  1. 2010/10/31(日) 01:09:34|
  2. 優香
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優香 第十一章 6

 長かった開会式もようやく終わった。式が済むと生徒はそれぞれ生徒席へ散っていく。やがて競技の準備がされ始め、お馴染みのBGMが響き出す。これにより観客・生徒の関心も徐々に再び本来の体育祭の方へと向かっていくかに見えた。

 が、生徒席に着いた優香を待っていたのは自分に対する露骨な扱いだった。

「露出狂だけで充分なのに、そのうえ嘘つきって最低よね」
「朝来たらブルマ切られてたって、人のせいにしちゃうんだもんね」
「自分で切ったのバレバレなのに」
「パンツ穿いてない時点でアウトでしょ!」

 そういう言葉があちこちから耳に届いてきて、優香は一時も心が休まらなかった。

 と、そこへ別のクラスの一人の女子(体育祭になると急にはり切るタイプの不良女)が優香の目の前に来て言った。

「あんたさぁ、その格好で競技に出るつもり?」
「……」
「目障りだから消えてくんない? マジむかつくんだけど」

 そして優香の透けた乳首を、また露出したおま○こを軽蔑の眼差しで睨みつけ、行ってしまった。もはやどこにも優香の居場所はなかった。もちろん優香本人もその女子の言う通りこの場から消えてしまいたかった。が、それは千夏が許さない。千夏は生徒席の目立たないところでじっとしていようとする優香を無理に歩かせ、必ず人の多いところへ向かわせようとするのだった。

「お! さっきの子がこっちに来たぞ」
「わざわざ観客席まで来て見せびらかすなんて」
「ホントに見えてるんだな。近くで見るともう丸出しだぜ!」
「ノーパンで、毛まで剃って、準備が入念ね!」

 優香は歩きながら自分に向けられる冷たい視線を嫌というほど感じた。四方八方から発せられる悪口。露骨な嫌味。それを聞きながらも、優香はしかし何の用事もないのに観客席の周辺をうろうろ行ったり来たりする。千夏は離れたところで他人のように監視しているだけなので、そうなるとたった独りで観客席をうろついている優香の行動は、完全に優香自身の意思としか見えなかった。

(これでは本当に……)と優香は思った(あたし露出狂じゃない……)

 と、そんなことを思いながら屈辱と絶望に胸が張り裂けそうになっていたとき、観客席の向こうの方に、優香はふと見覚えのある三人組がいるのに気付いた。優香の顔がその瞬間引きつった。その三人とは紛れもない優香の中学時代の親友たちだった。

 優香はとっさに後ろを向いてその場から立ち去ろうとした。が、少し行ったところで千夏に止められてしまう。

「なんで逃げるのよ?」
「でも……あそこに友達が……」
「友達? ああ昨日メールした? じゃあなおさらいなくなっちゃダメじゃない。挨拶しにいきなさいよ」
「いや、でも……いまのこんな格好じゃあ……」
「こっちから招待しといて、挨拶にも行かないなんて失礼だと思わないの!」
「それはそうだけど……」
「行きなさいよ。向こうももう気付いてるみたいだよ」
「え?」

 そう言って振り返ると、たしかに例の三人組が自分の方を見ていた。が、なんというかそれは、見てはいけないものを見ているというような、またはあまり関わりたくないとでもいうような、そんな、優香に対する見方だった。優香は三人の視線が自分のお尻に向けられているのを感じる。食い込みすぎて今ではもうTバック状に丸出しになってしまっているお尻を三人は何やら不審そうに見つめている……

「ほら、行きなさいよ。それともあんた、あの子たちのこと無視するの? その方がよっぽど嫌なやつだと思われるよ」
「……」

 優香はまだしばらく考えていた。が、やがて決心したように、

「わかりました、行きます……」

 と言って三人の方へ向かおうとした。

「いや、ちょっと待ちなさい。その前に……」

 と千夏が呼び止める。

「その前に、あんた何て言うつもり?」
「何てって、なにをですか……?」
「だから、そのいやらしい格好についてよ。聞かれたらあんたどう説明するつもりなの?」

 優香は顔を赤らめた。

「どうって……別に……」
「どうせまた嘘つくんでしょう? 切られたとか何とか言って?」
「でも千夏ちゃんの名前は出しません。絶対に……」
「そんなのは当たり前。それより、嘘をつくのが問題よ」
「別に嘘ってわけじゃあ……」

 千夏が睨みつける。

「それじゃあ、なんて説明すれば……?」
「なんて説明すればいいか? それはねえ……」

 千夏は優香の耳元にしばらく何やら囁いていた。聞きながら優香の顔色が徐々に青ざめていくのが遠くからでもわかった。
  1. 2010/10/29(金) 07:37:20|
  2. 優香
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優香 第十一章 5

 優香は壇上で準備体操をしている間、グラウンドにいるすべての人間の視線が自分に集まっているのを感じていた。

(みんな私を見てる……みんな私のことを変態だと思ってるわ、きっと……)

 田崎から前に出るようアナウンスされたとき、優香は何かの間違いだと思った。そんなこと聞かされていなかった。しかしこの優香の突然の指名は、実は事前にもう仕組まれていたことだったのだ。千夏が、あの修学旅行の一件を撮影したビデオで、田崎を脅し、今ではもうこの鬼教師を自分の意のままに操れるようになっていた。

「教え子をレイプしたなんて、こんなことが世間に知れたら即刑務所行きね」

 だから体育祭のちょっとした段取りを変更させることなど今の千夏には実に簡単なことだった。

 が、そんなこととは知らない優香は、ほとんど泣きそうな顔になりながら、壇上で体操をし続ける。千夏に手を抜くなと命令されていて、また田崎からは少しでも手を抜いたら一日中壇上に立たせると脅かされていたので、優香は足を動かすたびにブルマの切れ目からおま○こが丸見えになってしまうのをどうすることもできなかった。ちょっと足を開いただけで、切れ目が開き、いやらしい自分の女性器が露出してしまうのだ。壇の周囲では、カメラ小僧たちが優香のむき出しの股間を真下から撮っている。

(あぁ……私の大事なものが、あのカメラの中に……お願い、撮らないで……)

 今ではもうすべてのカメラ小僧が、優香のブルマの秘密を確認してしまっていた。女性器の形に沿ってブルマが切られており、しかもパンティを穿いていない。だから体操の動きに合わせ、おま○こが、時にはビラビラまで含めて全部、カメラに収めることができた。

 見も知らない男のビデオカメラに自分の女性器の映像が保存される(しかもおそらく永久に……) 女性としてこれ以上の屈辱が他にあるだろうか。優香はそれを隠すことも体操の手を抜くことも出来ず、まるで合意の上であるかのように(まるで見てくれといわんばかりに)18才の、娘盛りのおま○こを晒していなければならないのだった。


 やがて、優香には一時間にも二時間にも思えたが、悪夢のような準備体操がやっと終わった。優香は露出したおま○こに冷たい風を感じつつ、足をガクガク震わせながら壇から下りた。

 もう気が遠くなりかけていた。一刻も早く列に戻りたかった。注目する人々の視線から逃れたかった。

 が、そう思って小走りに駆け出そうとした優香を、田崎が急に呼び止めた。

「ちょっと待て!」と言った。「お前それはどうしたんだ?」

 優香はビクっとして立ち止まった。心臓が破裂しそうだった。

「え……なんですか?」
「なんですかじゃないだろ! そのブルマーに開いた穴のことに決まってるじゃないか!」

 と、その瞬間グラウンド上が騒がしくなった。というのも、田崎の持っていたマイクの電源が、このとき(不注意にだろうか)オンになっていて、そのため二人の会話はグラウンド中に響きわたっていたのだった。

 つまり、優香の服装の異常なことが、この瞬間、すべての人間に知れ渡ってしまったのだった。

「いやぁぁぁ……」響きわたる優香の悲鳴。しかし公然と指摘されて死ぬほどの恥ずかしさだったが、それを手で隠すことは禁じられているので出来ない。つまりどんなに注目を浴びても晒したままにしておかなければならず、しかもそれはいま、終わったばかりの体操のせいで股の生地がずれ、切れ目は大きく左右に開いたままに、つまりおま○こが丸出しになったまま固定されてしまっていた。自分で見下ろした優香の目にも裂け目がはっきりわかるほどだった。

 優香は何とも説明ができない。ただ恥ずかしそうに顔を赤らめているばかりだったが、しかし一方では露出したおま○こを少しも隠そうとしなかった。田崎が激しく詰め寄る。

「どうしたんだと聞いているんだ! そんな股の裂けたブルマー穿いて……それにお前、パンツ穿いてないだろう? 性器が丸見えになってるじゃないか!」

 グラウンド中に広がるざわめき、噂話、嘲笑……

 優香はやはり答えることができない。そして自分のおま○こに向けられた視線を回避することもできない。

「これは明らかな服装違反だぞ」と田崎は教師らしく言った。「すぐに着替えてきなさい」
「あの、でも代えがありません……」
「代えがない? ということは、それはお前のブルマーということなんだな?」

 優香はしばらくためらったが、千夏の名前は出せないので、

「そうです……」と答えた。
「じゃあそのお前のブルマーに、どうして股間に穴なんか開いているんだ? 誰かに切られでもしたのか?」

 優香はまたちょっとためらったが、やがて小さく口を開いて、

「そうです……朝学校に来たら、切られていて……」
「それをそのまま穿いたのか?」
「はい、代えを持ってきていなかったので……」
「そうか、わかった」

 妙に物分りのいい田崎。その田崎の納得したような表情に、優香は最悪の事態だけは何とか免れることができるとホッとした。が、続いてすぐ田崎の口から発せられた質問に、優香は王手を掛けられることになった。

「そうか、誰かが悪意があってやったのか……でも、じゃあなんでパンツを穿いてないんだ?」

 優香はハッとした。自分のついた嘘に首を締められる心地だった。

「あの、それは……」
「これも誰かのせいだとは言わせないぞ。朝学校に着いたら盗まれてましたなんてな。さあ、答えろ。どうして穿いて来なかったんだ」

 優香は頭の中でいろいろな理由を考えた。何かもっともらしい言い訳を。そしてやがて一つの答えを口にしたが、それはもう苦し紛れの嘘だった。

「あの……その方が動きやすいと思って……」
「動きやすい? ブルマーがこんな状態なのに、動きやすいようにパンツを脱いだというのか?」

 優香は自分の言った言葉に顔を真っ赤にした。嘘をつき慣れない人間が嘘をつくと必ずこんな結果になる。嘘が自分の立場をさらに悪くしてしまうというような。

「お前、本当に動きやすさが目的でパンツを脱いだのか? そのためなら性器くらい見えても構わないと思ったのか?」

 また嘘の下手な人間というのは自分のついた嘘を簡単に白状してしまうものである。

「いいえ……」
「つまりいま言ったことは嘘だったと?」
「すいません……」
「じゃあ朝学校に来たらブルマーが切られていたというのも?」
「はい、私の思い違い……」
「思い違いじゃないだろ! とっさに嘘をついたんだろう?」
「……はい、嘘を言いました」

 情けなさと恥ずかしさ。そして、絶体絶命の危機。優香はもう自分はこれで終わりだと思った。自分の人生はもうこれですべて終わりなんだ。こんないやらしい格好をみんなに見られて、その正当な理由も説明できないで、苦し紛れに嘘までついて…… 息を呑んで見守る観客、また全校生徒。今ではもうすべてがはっきりしたように思われた。なぜ優香のブルマーの股間が切ってあるのか、またなぜ下着を穿いていないのか。誰かに切られたというのが嘘だとしたら、いったい他にどんな理由があるだろうか。

「嘘なんかついたらますます自分の立場を悪くするだけだぞ。いいか、本当のことを言いなさい。どうしてブルマーの股間が切ってあるのか、またなんでパンツも穿かずおま○こを見せびらかしているのか?」

 田崎は興奮して自分が露骨な名称を口にしたことに気づかなかった。そして言われた優香の方は、その露骨な名称に顔を赤らめ、それを、見せびらかしているなどと決めつけられてしまい、死にたいほどの屈辱だった。優香は少なくともその誤解だけは晴らしたいと反論しようとしたが、そのとき、別の一人の教師が田崎のもとにやってきて、進行がもうだいぶ遅れてしまっていると注意したので、優香の反論は発せられず、誤解はそのままの形で残ることになってしまった。

 こうして、この不自然に始まった公開裁判は、しかし自然な結論を人々の心に残して、中止を余儀なくされた。

 田崎に許されてようやくクラスの列に戻ることができた優香だったが、もはや優香には観客の視線を逃れることは不可能だった。誰もが優香を追って見続けている。しかしそのたくさんの視線には二つの種類しか存在しなかった。軽蔑の意味か、性的な意味かの、どちらかだった。優香の無実を信じてくれる人間は誰もいなかった。

「よっ! 変態女!」と男の野次が観客席から発せられた。

 冷たい笑い声が客席中に広がった。

 優香は顔を真っ赤にしてうつむいているより他なかった。
  1. 2010/10/29(金) 07:36:22|
  2. 優香
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優香 第十一章 4

 開会式でカメラ小僧に狙われる優香。乳首の透けるピッタリしたシャツに、股間に切れ目の入ったブルマ。手で隠すことを千夏に禁止され、観客と向かい合わせの、列の先頭で、手を後ろに組み、胸を隠すことも、股間を隠すこともできず、びくびくしながら立っていた。

 もういつ一般の観客にバレてしまうかわからない。徐々に数を増す観客の中に、自分の知り合いもすでに来ているかもしれなかった。

――――――――――――――――――――――――

 一方その頃、グラウンドの観客席では……

「はぁ、やっと着いた~」
「よかった。まだ始まってすぐみたいだよ」
「へえ、今時まだブルマなんだ。かわいそう……」

 そう話しながら現われたのは、優香の中学時代の友人、加奈と明子と恵子の三人だった。昨夜優香にメールで誘われ、今日の久しぶりの再会を、楽しみにしてやってきたのだった。

「優香ちゃんどこかな?」
「人が多すぎてわかんないや」

 と、そうやって三人で探していたとき、壇上で行われていた校長の退屈な挨拶が終わり、続いて、マイクが次のプログラムをアナウンスした。

「では続いて、準備体操を行います。3年2組の体育委員の女子は前へ」

 が、その呼ばれた生徒はなかなか出てこなかった。体育教師の男(田崎だった)は繰り返す。

「3年2組体育委員の女子は壇上に上がって体操の指揮をとってください」

 しかしそれでも現われなかった。グラウンド上がにわかにざわつき出した。やがて教師は、苛立ちのこもった強い口調でこうアナウンスした。

「えー、繰り返します。3年2組の体育委員、田辺優香さんは、前に出て、壇上で体操の指揮をとってください!」

 グラウンド上に広がる沈黙の数秒間。観客席の三人は優香の出てこないのを不思議がる。

「どうして出てこないのかな?」
「風邪でもひいて休んじゃったんじゃない?」
「でも昨日の夜メールで誘ってくれたばかりだし……」

 と、ついに体育教師の怒りが爆発した。

「田辺さん早く来なさい!」

 怒鳴り声は学校の外にまで響き渡った。

 そしてようやく、整列した生徒の集団の中から、一人の女子生徒が、真っ赤な顔をして現われた(途中、別の一人の女子生徒に耳元に何か囁かれながら) そして、観客や全校生徒の前で怒られたためか、それとも他にわけがあるのか、恥ずかしそうに、壇上に上がるのだった。

 と、そこにいる誰もが壇上の女子生徒に目を奪われた。なぜならその女子生徒は、体に異様にピッタリした小さいシャツを着て、体のライン、特にその胸の膨らみが強調され、また、紺のブルマもサイズが小さすぎるらしく、食い込んだ尻のほとんど全部が丸出しになってしまっていたからだ。それは誰が見ても明らかに卑猥な姿だった。それがいま、壇上に(グラウンドの最も目立つ場所に)現われたのだ。

「ねぇ……あれ、優香ちゃん……よね?」
「うん……たしかに優香ちゃん、だけど……」
「何か体操着小さくない?」
「お尻が見えちゃってる……」
「新しいの買ってもらえないのかな……?」
「でも、食い込み直そうともしないよ」
「それにさあ、ブラジャー……してないんじゃない? あの……あれが、浮き上がっちゃってるよ」
「……」
「……」
「何か大人っぽくなったね」
「うん……セクシーになったってゆうか……」

 そして三人は黙り込んだ。三人とも、無言でしばらく優香の姿(何だかいやらしい優香の体)をじっと眺め続けていた。周りにいる観客(保護者たち)の声が耳に入ってくる。

「ちょっとなにあの子……」
「3年の田辺優香っていうらしいよ」
「その子なら有名じゃない? いつも試験で学年1番になるっていう、しかも学校一の美人……」
「でも、なんか悪い噂もあるらしいわよ。娘から聞いたんだけど、可愛いのを鼻に掛けて、わざとパンツを見せたり、時にはパンツ穿いてこないで、短いスカートで……」
「注目を浴びるのが好きなのね」
「露出狂っていうやつなのかな。だから女の子の間ではすっごく嫌われてるんだって」
「じゃあ今のあの格好もそれなんだ。見てよあの小さいブルマ。お尻まる見えよ。下着穿いてないんじゃない?」
「あとたぶんブラジャーもね。ああやって自分の可愛さをアピールするのが楽しいらしいわよ」
「頭が良くて、美人で、みんなからちやほやされて育ったのね、きっと……」

 こんな噂話を、優香の友人三人は隣で耳にしたのだった。昔の優香を知っている彼女たちからすれば、まさかというような話であったが、しかしいま壇上にいる優香の姿と、昨夜の唐突なメール、また中学当時から胸底にちょっぴり抱いていた優香の人気に対する嫉妬とが、もしや、という方向へ気持ちを傾けさせるのだった。

(もしかしたらそのために呼んだのかしら……)
(高校での自分の人気を私たちに自慢するため……?)
(でも考えてみれば、昔からちょっとそういうところがあったといえばあったような……)

 準備体操が行われている間、三人は壇上の優香の動作をじっと観察しながら考えていた。壇上の優香は、腕を上げたり足を上げたり、動くたびに胸やお尻が強調され、観客の男たちの視線を釘づけにしているのだった。もうブラジャーをしていないのは明らかで、胸を反らすたび、その乳首の形がシャツの白い生地にはっきり浮き出して見えるのだった。また、遠くてよくわからなかったが、下から見上げる壇上の優香の、そのブルマの股間部分が、何だかおかしいような気がするのだった。紺色の生地の真ん中に(ちょうど股間の位置だ)縦に一本、肌色の線のようなものが見える…… おそらくもっと近くに行けばわかるだろうが(例えばあの壇のほとんどすぐ真下で優香の姿を撮影している男のように)しかしいま三人のいる場所からでは推測することしかできなかった。しかもその推測というのは、あまりにも有り得ないこと、ちょっと普通の頭では信じられないことだった。

(まさか……ね。そんなことあるはずがないわ)

 このようにして、旧友三人は、優香の久しぶりの姿を確認した。そしてそれは優香に対して抱いていた友情の、崩れていく始まりであった。
  1. 2010/10/29(金) 07:34:32|
  2. 優香
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