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羞人たち

趣味で書いた羞恥小説 18禁です。

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優香 第十二章 17

 グラウンドの端に追い込まれてしまった優香。居並ぶ観客たちが見守るなか、上半身裸で、騎馬に乗せられて、後ろ手に両手を縛られているので胸を隠すことが出来ない。その彼女の丸出しの乳房を見て観客は卑猥な野次を飛び交わす。優香は顔を真っ赤にして堪えるしかなかった。隠すことの出来ない自分の胸を、観客のいやらしい視線に晒し続けるしかなかった。

 そして、そんな優香のもとへ迫ってくる敵の四体の騎馬。横に大きく広がって、相手の騎馬を取り囲みながら接近していたのが、段々近くなるにつれ、敵を囲む輪を小さくしていく。

 やがてもう抜け出す隙間もないほど接近されてしまった。またしても優香は、勝ち誇る四体の敵に完全に包囲されてしまったわけだった。加えて今は、見守る観客も、不動の壁となって、すぐ背後に立ちはだかっていた。

「よし、追い詰めたぞ」と目の前に来た敵の騎馬が言った。「今度はもう逃がしてやらないからな」

 別に逃がして欲しくなんかなかった。優香が願うのは、もうただ一つのことだけ、一刻も早く負けてこの衆人環視の裸地獄から解放されることだった。だから優香は何も言わず、ハチマキを奪いやすいようやや前かがみになって、頭を相手の方へ差し出す姿勢を取った。

 と、彼女のその前傾姿勢を見て、背後の観客たちの間で何やらざわざわし出した。

「おい、あれ見ろよ」
「おお、半ケツじゃねえか!」
「ズボンがずり下がってるんだ。ケツの割れ目がまる見えだぞ」
「こりゃいい。胸の次はお尻ときたか!」

 どうやら逃げている間にずり下がってしまったらしい。もともとブカブカだった優香の短パンのウエストが、逃走の激しい震動と、夢中でいて気づかなかったために、もうかなり下の方へ下がってしまっていた。それは半ケツ……どころかほとんどお尻の終わりくらいまで下がっていて、優香のぷりっとした白いお尻の、ほとんどが見えてしまっていた。さらにいま彼女が前傾姿勢を取ったために、その奥のオマ○コまでが、あやうく見えてしまいそうだったのだ。

(なに? みんな何をそんなにざわついてるの……? 胸……? 胸はもうさっきから見てるでしょ…………あっ!)

 そこでようやく気がついた。優香は、指を伸ばして(手首は縛られていたが指は自由だったので)自分のお尻がどうなっているのか確かめた……。

 柔らかい肉の感触、露出した皮膚の冷たい肌触り、微かに汗ばんだ中央の割れ目……優香は丸出しのお尻に触れたのだった。

「いやっ……!」

 と小さく叫んで短パンを直そうとする。が、時すでに遅かった。もうほとんど足の付け根あたりまで下がっていた短パンは、後ろ手に縛られた彼女の指では届かなくなっていた。わずかにぎりぎり中指の先でウエストに触われたが、それを上に持ち上げることは、どんなにがんばっても……できなかった。

「やっと気づいた? ケツ丸見えだぞ」

 と、優香を乗せた後ろの騎馬の男子が言った。彼は優香の丸出しになったお尻を、すぐ目の前で見ることができていた。そしてさらに座席となった腕で、優香のお尻を、じかに感じてもいたのだった。赤ちゃんのようにすべすべで、柔らかい、田辺優香の生のお尻の肌触り……優香が無意識に力を入れるとキュッと固く引き締まる、その筋肉の感触までわかった。

「いやっ……見ないで。ど、どうして教えてくれなかったのよ……?」

 優香は座席となった男子の腕に、じかにお尻を触られていると知りつつも、それをどうすることもできず、恥ずかしそうに言った。

「俺も必死に走ってて気づかなかったんだよ、まさかお前のケツが目の前で丸出しになってるなんてな」
「ねえ、もう騎馬から降ろして……どうせ負けなんだから、ね、もう騎馬を降ろそうよ……」
「いや、そういうわけにはいかない。勝負は決着がつくまでやるっていうのが男の世界だ、たとえ負けるとわかっててもな。それにさぁ、もうケツくらい見られたっていいじゃん。もうどうせおっぱい丸出しなんだからさ、他にどこ見せようが別にいいんじゃないの?」
「よ、よくない……! いいわけないじゃない……!」
「でもお前はよくなくても、俺はこのままの方がいいんだよ。何しろ、せっかくおっぱい丸出しなのに、俺は後ろにいるから、そのお前の丸出しのおっぱいが見えないんだぞ。わかるか、俺のこの気持ち? だから、代わりにケツくらい見せてくれよな」

 そう言うとその男子は、優香のお尻が乗っかっている腕を、撫でるように横に動かした。

「きゃッ……! やめて、なにするのよ……!」
「別になにもしてねえよ。そろそろ疲れてきたから、ちょっと動かしただけじゃねえか」

 言いながら男子はやはり腕を動かして優香のお尻を撫で続ける。そして、徐々にエスカレートしてきて、やがてお尻の割れ目に突っ込んでみる。汗で微かに湿っていて温かかい、優香のお尻のくぼみの感触……。

「いやぁっ……やめてよ、もう……!」

 そう言うと優香は男子の腕から逃れようと、思わず座席から腰を浮かしてしまった。

 が、それはこの状況、この場面では、絶対にやってはいけないことだった。なぜなら腰を浮かせて姿勢が垂直ぎみになると、座って腰を曲げていることで食い止めていた箇所から、短パンが、下へさらにずり落ちてしまうことになるからだった。優香はそのことにまったく気づかず、ただもう男子のいやらしい腕から逃れたい一心で、騎馬の座席から腰を浮かせてしまった。

 あっ、と言ういくつかの声が彼女の耳に聞こえた。

 嫌な予感が頭をよぎった……すぐさま優香は、その腰を浮かせたままの状態で、何やら風通しのよくなったような感じのする自分の下半身を見下ろした。

 視界の中ですべてがスローモーションになって見えた。そのスローになって見えたものとは……もはや食い止める障害がなくなり、するすると膝の方へ滑り落ちていく短パンと、同時に唯一隠してくれていた短パンがなくなり、丸見えになってしまった股間、無毛のおま○この恥ずかしい筋。落下した短パンは、騎馬の座席の男子の二本の腕に引っ掛かり、彼女のちょうど膝の辺りで落下をやめた。

 あっ、と同時に叫んだのは、いきなり目の前に現われた優香の股間を正面から見た敵の男子と、いまや完全に露出した優香のお尻を背後で見ていた観客たちだった。そしてその優香のお尻を見上げていた観客の何人かは、その奥の、彼女の女性器をも、見てしまったのだった。

「いやぁぁあ……!」

 優香はもうグラウンド中に響き渡るような大声で悲鳴を上げた。

 これではもう全裸も同然だった。ずり落ちた短パンが無意味に膝を隠しているだけの、もう全裸同然の姿だった。胸もお尻も丸出し、さらには股間も丸見えの、生まれたままの姿だった。しかもその場所は、体育祭のまさに行なわれているグラウンドの、観客・生徒百人を超える人々の注目を一心に集めている中で……だった。

(うそ……うそよ、こんなこと絶対に……)

 優香は騎馬の上に立ち上がったその高い位置から、観客の方を見ながら思った。胸も股間も丸見えの自分の裸を、じっと見上げている観客のたくさんの顔。赤の他人ばかりの、当然話をしたこともない人間たちに、自分の生まれたままの姿を晒している……。こんなことが本当にあり得るのだろうか。服を着ている百数十人の人間の中で、自分だけが全裸で、しかも男子に混じって騎馬戦をしているなんて……。

 優香はもう恥ずかしさを越えた屈辱そのものの状態で、自分のお尻を待つ騎馬の座席に再び腰を下ろした。中央でクロスした腕に性器が触れた。股間に突き刺さる敵の視線。腰を下ろしても当然短パンは下がったままだった。すぐ目の前の自分の膝に引っ掛かっているのに、後ろ手に縛られた指からは、もうまったく届かないほど遠くへ行ってしまった……。

「ついに全裸だ!」
「全裸騎馬戦なんてもうAVの世界だぜ」
「いや、そのうえ両手縛られてるんだから、これはAV以上だぜ」
「全裸で、頭には赤いハチマキっていうのが何とも堪らないねえ」
「女優さ~ん! 次はどんなことしてくれるんですか~?」
「もちろん男優にフェラ、そして本番、ですよね~!」
「もし男優がいないようだったら俺がやりますよ~!」
「あ、その前に自分でオナニーするシーンがあると嬉しいで~す! 手首縛られた状態でも、後ろから、できますよね~?」
「途中で指で広げて、濡れたおま○こよ~く見せてくださいね~」

 もう背後に集まった男の観客たちの興奮はピークに達していた。彼らはここが学校であることなどすっかり忘れて、完全にAVの撮影所か何かのような気分になっていた。そして目の前で裸で騎馬戦をやっているのは、学校の生徒ではなく、AV女優だった。だから観客たちはもうそのつもりの扱いで、優香にいろいろな野次やら要求やらを飛ばすのだった。

「はやくオナニーしろよ~!」
「もう何百回もやってんだろ?」
「そんなんじゃDVD買ってもらえないぞ~!」
「AV女優なんだからオナニーくらいしてみせろよな!」

(ちがう……あたしは、そんなAVとかの、そういう人じゃないんだから……あたしは、ただ、命令されて、しかたなく……)

 優香は頭を振って必死に否定するのだが、観客の罵声はますます露骨に、激しくなるばかりだった。

 グラウンドに響き渡るオナニーコール。男の観客の熱狂ぶりとは対照的に、遠くから、冷ややかな軽蔑の視線で優香を睨みつけている女の観客や生徒たち。

 こうして、優香は騎馬戦でついに全裸を晒してしまったのだった。
  1. 2011/04/30(土) 08:27:39|
  2. 優香
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優香 第十二章 16

 味方のいなくなったグラウンド上で、後ろ手に両手を縛られてしまった優香。もはや隠すすべのない裸の乳房を、見守る観衆に晒しながら、さらなる屈辱に堪えなければならない。

 敵の騎馬たちは、四方から優香を取り囲みながら、いまや無防備に晒された彼女のピンク色の乳首をじっと見つめていた。優香は恥ずかしさから、顔をその自分の乳首の色以上に顔を赤く染めた。

「ねえ、もういいでしょ……手を縛って、この通りもう抵抗できないんだから、早くハチマキ取っちゃってよ……」
「そうだなぁ……」と相手の男子は目の前の優香のキレイな乳首をじっと見つめながら答えた。「でもさ、俺いまふと思ったんだけど、さすがにこれじゃ卑怯だよな。女子一人を相手に、男四人がかりで、逃げられないように周りを取り囲んだりして。こんなんで勝っても誰からも誉められないぜ。かえって卑怯者呼ばわりされるのがオチだ」

 そして言い終わるとしばらく黙り込んで何やら考えていた。優香には相手の意図がまったくわからなかった。

「よし、じゃあこうしよう!」とやがて突然相手が言った。「こうしよう、今からお前に一度だけチャンスをやる。十秒待つから、その間に逃げるんだ。十秒経ったら、俺たちは追いかける。そして今度こそ、正々堂々、勝負ってわけだ。な? それなら公平で、誰も俺たちを卑怯だなんて言えないだろ?」
「え? なに、どういうこと……?」

 この手を縛られている状態で、何が公平なのか、何がチャンスなのか、優香にはまったく理解できなかった。しかしそれを相手に抗議している暇はまったくなかった。その、チャンスだという意味不明な十秒間は、早くもカウントされ始めていたのだから。

「い~ち、に~い……」

 そしてまた、たとえ抗議できていたとしても、乗り手に過ぎない優香には、カウントと同時に、すでに走り始めていた自分の騎馬の動きをどうすることもできなかった。

「さ~ん……」

 背後で遠ざかっていく敵の掛け声。

「ねえ、ちょっとどこ行くの? どうするつもり? いくら遠くに逃げたって、絶対に勝ち目はないんだよ。手を縛られちゃってるんだから……」
「知るかそんなこと!」と優香を乗せて走りながら、騎馬の一人が言うのだった。「こうやって時間稼ぎをしている間に、何かいい案が浮かぶかもしれないだろ?」
「浮かぶわけないよ……こんな腕がまったく動かせない状態で、いったいどうやって相手のハチマキ奪えっていうの? ね、戻ろ? 戻っておとなしく降参し……キャッ!」

 そのとき優香は馬上で体勢を崩してしまった。後ろ手に両手を縛られ、どこにも掴まることが出来なかったので、バランスが取りにくくなっていたのだった。前のめりに崩れた優香の上半身は、そのまま目の前の男子の方に倒れ掛かり、その男子の頭を、二つの乳房で挟み込んでしまった。

「気をつけろ! おとなしくしてねえと地面にぶっ倒れるぞ!」

 そして言いながらその男子は頭を後ろへ振り向けた。

 すると、その振り向いた顔のちょうど口のところに、何やら柔らかい突起物が当たった。ん?……と思いながら、彼は舌を出してちょっとその突起物の感触を確かめてみる。柔らかいが、弾力性のある丸い突起……。言うまでもなく、それは優香の乳首だった。倒れ込んできた優香の左の乳首を、唇で触れ、そして舌でちょっと舐めたのだった。

「いやぁぁぁッ……!」
「そんなこと言ったって、倒れたお前が悪いんだぞ! 俺はただ心配して振り向いただけなんだからな」

 そう言う彼の唇は、いまだ優香の乳首に触れ続けている。憧れの田辺優香のおっぱいが、いま自分のすぐ目の前にあり、そしてその乳首が、いま自分の唇に触れている……。彼はもう一度、舌を出して、今度は感触ではなく、その味を確かめてみる。

「いやぁぁ……やめて! 振り向かないで……」

 そして優香は渾身の力を振り絞って、何とか背筋の力だけで、上体を起こすと、男子に舐められた自分の左の乳首を見下ろした。その薄いピンク色の乳首は、その尖端が、ちょっと濡れて輝きを帯びていた。そしてさらには敏感に、少し硬く立っているようにも見えた。

(やだ、どうしてこんなふうになっちゃうの……恥ずかしい)

 しかし、いくら恥ずかしいと思っても、その恥ずかしさの原因である乳首を隠すことは不可能だった。恥ずかしい乳首を、恥ずかしい状態のまま、人前に晒し続けていなければならないのだった。

 優香は今さらながら、この自分の置かれている状況の惨めさを、はっきり認識するのだった。

 そしてそんなことをしている間に、気がつくと、すでに約束の十秒間は過ぎてしまっていたらしかった。カウントを終えた敵の騎馬四体が、元の位置を離れて、こちらへ向かって来ていた。

 やがて敵はどんどんこちらへ突き進んでくる。優香の騎馬も負けじとグラウンド上を必死に逃げた。その猛スピードで逃げる味方の騎馬の上で、完全に御輿状態になった優香の体は、激しく上下に揺り動かされ、そしてそれ以上に激しく、裸の乳房を前後左右に揺らされるのだった。

 その様子を見た観客席からは、卑猥な野次が飛び交った。

「いいぞ! その調子でもっと揺らせ!」
「ナイスおっぱい! 今度はもっとこっちに来て見せてくれ!」
「キレイなピンク色の乳首が堪らないねえ」
「そのまま学校の外まで出ちゃいなよ!」

 そうした卑猥な野次や、笑いや、ひそひそ声が、グラウンド中に響き渡った。そうした悪意のこもった視線を一心に(自分の裸の乳首に)浴びていることを感じていても、優香はただ顔を伏せることしかできなかった。じっと唇を噛み締めながら、涙を堪えるのが精一杯だった。

 やがて逃げ続けていた優香の騎馬は、グラウンドの端で立ち止まった。低くロープで仕切られた、そのグラウンドの端までたどり着いてしまうと、もうその先に逃げ道はなかった。振り返ると、後ろからは、敵方の四つの騎馬が大きく横に広がって、もうすぐそこまで迫って来ていた。そしてもう一度前を向くと、前方は、ロープの向こうからじっと優香の裸を見つめている観客の壁だった。さっきまであまり人のいなかったはずのその位置に、いまは大勢の人間が(大半は男の観客や男子生徒たちだった)移動して見に来ていた。そしてその位置からだと、もう至近距離から、優香の裸を見ることができた。揺れ動く白い大きな乳房の形から、かわいらしい乳首のピンク色まで、仔細に観察できるのだった。顔を真っ赤にして恥ずかしがるその表情まで、はっきり見ることが出来た。

(みんな見ないで……! これじゃあ、さっきより悪い状況じゃない……)

 優香は自分を恥ずかしがらせようと、じっと胸を凝視してくる男たちの熱い視線を嫌というほど感じながら、心の中で思うのだった。

(さっきよりひどい……これじゃあまるで昔の……)

 と優香が考えかけていると、まるでその彼女の考えていたことが乳首を透して見えたかのように、目の前にいた一人の観客が、突然こう言い出した。

「まるで昔の拷問みたいだな」

 すると隣にいた友人が、

「だとすると、名前は、まあ、はだか御輿の刑ってところだな」

 と、笑いながら答えた。

(はだか御輿の刑……あたしは何も悪いことなんかしてないのに、ただ命令通りに騎馬戦に参加しただけなのに、それで、こんな恥ずかしい罰を受けなくちゃいけないなんて……)

 優香はもう生きた心地もしなかった。

 しかし刑はこれで終わりというわけではなかった。刑の執行者たちが、彼女をさらなる羞恥の地獄へ陥れようと、後方から、騎馬に乗ってやって来ているのだった。彼らはもうすぐそこまで近づいていた。
  1. 2011/04/28(木) 12:04:09|
  2. 優香
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優香 第十二章 15

 ついに残りの一騎にされてしまった優香。観客・生徒でいっぱいのグラウンドの真ん中で、男子用の白い短パンを穿いただけの上半身裸の格好で、つまり丸出しの大きな胸を観客に晒したまま、競技を続けなければならないのだった。

 味方の騎馬かいなくなって急にがらんとしてしまったグラウンド上。取り巻く観客の顔が、一人一人、いまは遮るものもなく見通せた。ということはつまり、観客たちの方からも、同じようにこちらの様子が(騎馬上の優香の顔や、背中や、露わな胸が)ありありと見通せるに違いなかった。

(どうしよう……みんな見てる……恥ずかしい……いや、来ないで!)

 必死に恥ずかしさに堪えながら、胸を隠して縮こまっていた優香の方へ、やがて敵の騎馬がぞろぞろと近づいてくる。敵方はまだ四騎も残っていた。その四騎が、四方から、優香を取り囲みながら、口元にいやらしい笑いを浮かべて近づいてくるのだった。

(早く倒して……あたしは何も抵抗しないから、ハチマキを取って、早くあたしを解放して……!)

 こう心の中で強く願いながら、優香は、迫ってくる敵を待ち構えるのだった。


 一方その頃、観客席ではすでにグラウンドにいる上半身裸の優香の存在に気づき始めていた。先程までの声援が、いまは異様なざわめきとなって観客席に広がっていた。

「ねえ、あの子……ほら赤いハチマキの一人だけ残ってる子、あれ、女の子じゃない?」
「え? そんなわけは…………まあ、やだ! ホントだわ……!」
「なんで女の子が男の子と一緒に騎馬戦に参加してるのよ、それも……上半身裸になって……」
「胸を隠してるから見えないけど、あれきっとブラジャーもしてないわよ」
「え?……ってことは、おっぱい丸出し……? なんでそんな格好で騎馬戦に参加してん……」
「ほら、朝から一人いたじゃない? 3年の女子で、やたらピチピチしたいやらしい体操服着てた子が……覚えてない?」
「あああの……(と言ってその40近い保護者の女は不潔なものでも見るように顔をしかめた)、あの、股のところに切れ目の入ったいやらしいブルマーを穿いた……」
「そう、あの露出狂のバカ娘よ。さっきは観客に性器……いや、丸見えの股間を見せたから、今度は胸を見せようっていうつもりなのよ、きっと」
「最低の女ね。若いからって何でも許されると思ったら大間違いよ。あたしちょっと先生に文句言ってこようかしら。あんな子が同級生にいるなんて、うちの娘に悪影響だわ」
「そうね、ちゃんと言っておいた方がいいわね」

 このような会話が、観客席の、主に母親たちの間で交わされていた。対する父親たちの方は、女たちのヒステリックな言葉に黙ってうなずいていたが、しかし視線はじっとグラウンドへ向けて離さず、食い入るようにその裸の女子生徒を見つめているのだった。そんな男たちの下心ありげな視線が、女たちの怒りと嫉妬を、さらに掻き立てるのだった。

 しかし当のグラウンド上では、嫉妬と興奮のそんな観客の視線が向けられているとも知らず、騎馬戦は最後の大詰めを迎えようとしていた。

 グラウンド上に残り一騎になった優香は、すでに周囲を四体の敵の騎馬に囲まれ、どこへも逃げ場のない状態になってしまっていた。騎馬戦本来の目的物であるハチマキは無防備のまま防ごうとせず、ひたすら胸を押さえ隠そうとしているのだった。敵はもう彼女のハチマキに簡単に手が届くところまで来ている。

「ねえ、どうしたの……早くハチマキ取ってよ。あたし何の抵抗もしないから……!」
「いやいや、そんなこと言って、俺たちが油断した隙を狙おうって計算だろう。その手には乗らないよ」
「そ、そんなわけないじゃない……」
「いや、油断大敵って言葉があるからな。ここはじっくり慎重に、攻めないといけないぞ」
「そ、そんな……」
「よし、じゃあ、万全を期して、まずはこいつの両手をつかまえろ!」
「え? 両手を……? いや、やめてぇぇ!」

 と震えながら悲鳴を上げる優香だったが、そんなことにはお構いなく、その間に、早くも敵は作戦を実行に移していた。

 嫌がる優香の両腕を、二人掛かりで、左右から、片腕ずつ優香の胸から引き剥がす。優香の必死な抵抗も、男子の力の前には成すすべもなかった。実に簡単に、あっさりと、両腕を取られてしまい、そして彼らの前に、丸裸の、大きくて白い、女子の乳房と、恥らうピンク色の乳首が、やわらかくこぼれ出た。

「いやぁぁぁ!」

 優香は掴まれた両腕を必死に振りほどこうとするが無駄だった。筋肉質な男子の太い腕はビクともしなかった。どんなに激しく抵抗しようと、まったく無駄で、代わりにもうただでさえ丸出しにされて恥ずかしい自分の乳房が、余計にいやらしく、ぷるんぷるんと、視線の先で揺れるだけだった。優香はその揺れ動く自分の乳房を見て恥ずかしさに耳まで真っ赤になってしまう。ピンク色の乳首が、揺れながら、あっちこっちの方向を向いて、それはあたかも男子たちに媚を売っているようだった……。

 優香は抵抗をやめた、というより、もはや抵抗することさえ出来なかった。後ろ手に両手を縛られ、乳首まる出しの状態で、これから自分を待ち受けている屈辱を、脅える目で見据えるより他しようがなかった。

 しかしその彼女を待ち受けている屈辱は、彼女がこのとき想像した以上の堪えがたい屈辱、果てしない羞恥であることを、彼女はまだ知らなかった。

 不安ではち切れそうになった優香の胸の尖端で、ピンク色の乳首が頼りなげに細かく震えていた。さらにはグラウンド上を吹き抜ける冷たい風が、容赦なく、その敏感な彼女の乳首を撫でるのだった。
  1. 2011/04/28(木) 07:38:21|
  2. 優香
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優香 第十二章 14

 騎馬戦で、対峙した敵の男子に両手を掴まれたうえ、上半身裸の乳房をいやらしく触られまくる優香。接近する騎馬の上で、丸出しの自分の乳首を、相手の男子の指が執拗にいじり続ける。優香にはもう自分の丸出しの乳房を隠すことができない。丸出しの大きなおっぱいを、観客の見守るグラウンドの真ん中で、ぷるぷる揺れるままに晒しているよりほかなかった。


「やめて……やめてよ、触らないで……!」
「やだね。そんな堂々とチチ丸出しにしといてなに言ってやがるんだ。ホントはこうやって揉んでほしかったんだろ? みんなあたしの胸を見て、あたしのいやらしい乳首を舐めてって、思ってるんだろ?」
「ち、ちがう……そんなわけないじゃない……!」

 相手は優香の恥ずかしがる表情を見ていっそうの欲情を募らせる。やがて、優香のピンク色の乳首の方へ(相手にいじられ続けて固くピンと突き立ってしまっていた)その男子生徒の顔が近づいてきて、舌を出して優香の乳首を舐めようとした。

「いやぁぁッ……!」
「ほらほら、そんなこと言ったって、乳首の方は舐めてくださいといわんばかりに硬くなっちゃってるよ。ホント素直じゃないねえ」
「やめて……お願いだから……!」

 優香は泣き顔で必死に頼み込む。近づいてくる男子の舌を逃れようと体を激しく横に振る。しかしそうすることで彼女の大きな二つのおっぱい(ピンク色の二つの乳首)は、男の目の前でぷるんぷるん揺れ動き、かえって男の食欲をそそってしまうことになった。

「へへ、そんなにおっぱい揺らされたらよけいに食べたくなっちゃうよ」
「やめ……て……」

 もう乳首を舐められてしまうまで5センチ、突き出された男の舌が、優香のピンと立った乳首の尖端に達しようというときだった。そのとき(優香はもう半ばあきらめて乳首を舐められることを覚悟して身構えていたが)そのとき、突然その男子生徒の背後に、一つの腕が伸ばされ、男子の頭からハチマキを奪い取ってしまった。

「なに……!」ハチマキを奪われたことに驚き、舌を出したまま振り返る相手の男。

 見るとそのハチマキを奪ったのは、優香のクラスの男子生徒だった。彼は優香の危機に気づくや、すぐに駆けつけて助けに来たのだった。彼は奪い取ったハチマキを見せつけながら相手の男子生徒に言う。

「おい、ハチマキ取ったぜ。だから早く降りろよ」
「クソッ! あともうちょっとのところだったのに、邪魔しやがって……」

 そう言うとその負けた男子生徒は騎馬から下り、何度も優香の方を振り返って見上げながら(遠ざかっていくおいしそうな乳首……)がっくり肩を落として退場した。

「あ、ありがとう、助けてくれて……」

 危機が去ると優香は自分を救ってくれた男子に言った。

「なに、構わねえよ。言ったろ? みんなでお前を守るって」
「うん、あたしたち、仲間だもんね」
「そう、仲間だ。それに、田辺優香の乳首は俺たち2組のものだからな。他の組のやつには指一本、いや、舌一本触れさせない」
「…………」

 純粋に感謝の気持ちを抱いていた優香はその男子生徒の言葉にがっかりした。自分を救ってくれたのはクラスメートとしての友情からではなく、ただ単にあたしの裸(舐められる寸前だったあたしの乳首を)を、自分たちで占有したいためだけだったんだ……。


 と、二人がそんなやり取りを交わしている間にも、周囲では戦いが激しさを増して進行し続けていた。

 そしてもう相手の騎馬たちは、敵の中に裸の女子(おっぱい丸出しの優香)が紛れていることに気づいたらしかった。

「おい、見ろよあれ」
「お、女子じゃねえか。上半身裸の女子がいるぞ」
「おっぱい丸出しで騎馬戦やってらあ」
「よし、そんなら俺たちはあのおっぱい目指して突撃だ!」

 すると敵の騎馬が一斉に優香のもとへ押し寄せてきた。そしてわれ先にと腕を伸ばして優香の(ハチマキではなく)乳房を掴もうとするのだった。何本もの手が優香の丸出しの胸に飛び掛ってくる。味方の男子が懸命にそれを守ろうとする(守りながらときどき優香の胸を触りはしたがそれでも一応は守ってくれた)

 が、優香一人を守りながらの戦いは、戦術的にはあまり上手な戦い方とはいえなかった。優香を守ろうとすることで自身の守備は隙だらけになってしまっていた。だからその隙をついて相手にハチマキを奪われてしまう。優香の周りからは一つ、また一つと、味方の騎馬が消えていく。状況は完全に劣勢だった。そして、相手のそんな劣勢のなかで、敵の男子生徒は誰一人として優香のハチマキを奪い取ろうとはしなかった。

(ねえ、誰かあたしのハチマキ取ってよ……このままじゃ、あたし一人になっちゃうじゃない……)

 だが彼女のそんな願いも虚しく、優香のハチマキはその後も頭に巻かれ続けた。

 やがてついに味方の最後の一騎も敗れて、残るはとうとう優香の乗る騎馬ただ一つになってしまった。

「わりぃ。守りきれなかった。あとはお前一人でなんとか頑張ってくれ」
「ちょっ……! そ、そんな……」

 グラウンドを退場していく味方の後ろ姿を、悲しそうに見送る優香の暗い眼差し……。

 こうして優香は、参加させられた騎馬戦で、考えうる最悪の状況に陥ってしまったのだった。
  1. 2011/04/28(木) 07:38:01|
  2. 優香
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優香 第十二章 13

 ついに始まってしまった騎馬戦。走り出した優香の乗る騎馬。騎馬はグラウンドの真ん中を、敵陣目指して一目散に駆けて行く。その勢いのよさに、優香は何度もバランスを崩し、騎馬の肩に掴まって胸を何度も丸出しの状態に晒さなければならなかった。

(どうしよう……とうとう始まっちゃったわ……)

 敵陣へ進む騎馬の上で優香が考えたことは、すぐに敵にやられてしまおうということだった。どうせ男女の力の差は歴然なのだから、無駄な抵抗はしないで、出くわした最初の相手にハチマキを奪わせてしまおうと思った。いや、味方の男子たちの反感を買わないためには、できることなら相手のハチマキをこちらも奪って、相打ちになるのが一番いい。それだけでもう女子である自分としては充分の活躍だろう。

 そんなことを思いつつ優香はもう避けることのできない戦闘のときを待った。

 やがてその瞬間は訪れた。敵の騎馬が優香たちのすぐ目前に迫ってきた。激突する集団と集団。と、その中の一人の男子が、優香の姿に目を止めた。

「よし、あいつだ! あの弱そうなやつを最初に潰すぞ!」

 そう騎乗の男子は命令を下す。するとすぐさま騎馬が優香の目の前に迫ってくる。

 その男子のあまりの勢い、あまりの殺気に優香は脅え、また相変わらず胸を隠そうと押さえたままだったので、ほとんど抵抗することもないまま、伸びてきた相手の手に、ハチマキを掴まれた。

 しかしそれは優香の計算通りだった。難なく相手にハチマキを掴まれてしまったが、腕を伸ばして接近するその相手の頭のハチマキも、こちらから奪えそうだった。つまり予定通りの相打ちに持ち込めるわけだ。

 そう思い優香は短パンを押さえていた左手を相手の頭へ向かって伸ばす。が、それはすぐさま相手の右手に掴まれてしまった。そこで、優香はしかたなく(ほんの一瞬のことなのだからと)胸を隠していた腕を、パッと離して相手の頭へ向けて伸ばした。相手の左手は優香のハチマキをすでに掴んでいるのだから、もはや抵抗されるはずはない。

 しかし、優香が押さえていた自分の胸から手を離した瞬間、突如目の前にこぼれ出た二つの大きなおっぱいを見た相手の男子は、たちまち目の色を変え、相手が女子であることに気がついた。

(どうして女子がこんなところに……! それも上半身裸になって、乳まる出しでいるんだ……?)

 するとその相手は掴んでいた優香のハチマキから手を離し、向かってくる彼女の腕を取って相手の顔をよく見ようとした。こうして向かい合った二人の両手は掴み合いの格好になった。目の前で揺れる女子のおっぱい。恥ずかしそうに赤くなったその顔。

「おい、お前は田辺じゃないか! 2組の田辺優香だろ!」
「やめてっ……手を離してよ。もう攻撃しないから、早くあたしのハチマキ取って……!」
「そうはいかない。もっとお前のおっぱいよく見てからな」

 そう言うと男は、自分の両手で相手の両手を掴んだまま、がら空きになった優香の裸の上半身(揺れる胸、ピンク色の乳首)を舐めるように観察しだした。優香は相手に手を掴まれ、もはや隠すことのできない自分の胸を、至近距離から男子に眺められて死ぬほどの恥ずかしさを味わった。そうしてまた手を離そうともがけばもがくほど彼女の柔らかい胸は大きく揺れた。

「へへへ、そうか。じゃあここは一つたっぷり遊んでやるか」

 やがて相手の男子はにやりと笑うと、優香の左手を掴んでいた自分の右手を、パッと離し、再び優香のハチマキ目掛けて伸ばしてきた。優香は身構えてハチマキを奪われる覚悟をした。

 が、その無警戒の頭に伸びてきた男子の腕は、空振りするように優香のハチマキを通り過ぎた。そしてその空振りした手が何と優香の丸出しの胸を掴んできた。

「いやぁぁッー!」

 優香は突然相手に胸を掴まれて悲鳴を上げた。だが相手はそんなことには構わず優香のおっぱいを鷲づかみにする。激しく揉まれる優香のおっぱい。指先でつままれる尖端の乳首……

「やめて……ちょっ、なにするのよ!」
「別に何もしてねえよ。空振りして体勢を崩しただけだよ!」
「じゃあ、もういいでしょ! あたしの胸から早く手を離して……!」
「わかったよ、はいよ!」

 と言うと男はおとなしく手を離したが、再びハチマキに伸ばした手を空振りさせると、もう一度、優香の今度は先程とは別の方の胸を鷲づかみにした。

「いやぁぁぁッー!」

 優香は必死に男子の手を振り払おうとするが、相手の太い腕は彼女の力ではびくともしない。そしてまた、相手が自分の胸を揉んでいる隙にそのハチマキを奪ってしまおうともするが、そこは相手も見逃さず、すばやく優香の手をかわしてしまう。

 こうして、優香は学校のグラウンドの真ん中で、上半身裸になったうえ、同級生の男子生徒から、胸を触りたい放題に触られ、揉み放題に揉まれてしまうのだった。
  1. 2011/03/10(木) 21:40:16|
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優香 第十二章 12

 マイクが告げる選手入場のアナウンス。その合図とともに、門に集まっていた3年の男子生徒たちは一斉にグラウンドへ駆け出した。

 優香はその駆け出した集団のなかに紛れて、出来るだけ目立たないようにした。

 やがてグラウンドの両側に敵味方が別れる。笛が鳴らされ、全員騎馬の準備に取り掛かる。

「よし、じゃあ俺たちも組むぞ」

 と、優香と組むことになっている男子生徒が優香に言った。そしてすぐさま三人の騎馬が出来上がる。

「よし、田辺、できたから乗れよ」
「う、うん……」

 優香は歩み寄ると、騎馬の中央を走る二本の腕、つまり騎馬の座席に跨いで乗った。続いて足の裏を両側の繋がれた手の平に乗せる。

「よし、このまま立ち上がるぞ。バランス崩すなよ」

 すると優香を乗せた三人の男子が一斉に立ち上がる。と、片手で胸を、片手で短パンを押さえていた優香は男子の肩や頭などのどこにも掴まっていなかったので、その騎馬の急に立ち上がった衝撃で体勢を横に崩してしまった。

「きゃっ!」

 優香はとっさに腕を伸ばして目の前の男子の肩に掴まった。が、そのため隠していた彼女のおっぱいが両方とも白昼のグラウンドで丸出しになってしまった。

「いやぁっ!」

 と再び悲鳴を上げたがそれは最初のとは違う意味の悲鳴であった。

「おい、危ないからしっかり掴まってろよな! 頭から落ちて怪我しても知らねえぞ」

 そう本気で注意され、優香はやむなく両手で目の前の男子の肩に掴まって騎馬の立ち上がるのを待った。まる出しの彼女の大きなおっぱいが、熱気に包まれた男子生徒の集団のなかで、おびえるように小さく揺れた。

「お、田辺のおっぱい丸見えじゃん!」と、隣の騎馬から男子生徒の声が飛ぶ。
「相変わらずピンク色のキレイな乳首してんなあ!」
「ほらほら、しっかり掴まってないと危ないよ。恥ずかしがらずにもっとじっくりおっぱい見せてくれよ」
「ホントしゃぶりつきたくなるおっぱいだよな」

 優香はそんな露骨な言葉を掛けられて、恥ずかしさに耳まで真っ赤になったが、それでもまたバランスを崩したら危ないので、おっぱい丸出しの状態のまま、騎馬が立ち上がるまでは男子の肩にしっかり掴まっていなければならなかった。

(やだ……恥ずかしい……!)

 やがて騎馬が立ち上がった。立ち上がった騎馬の上は予想した以上の高さだった。その高みからだとグラウンドの遠くの観客席や、生徒席が完全に見渡せる。観客席に集まったたくさんの保護者、友人、知人たち。また生徒席から黄色い声援を送っている同級生、後輩の女子生徒たち……。つまり、こちらからこんなにはっきり向こうの人々の姿が見えるなら、同じように向こうからもこちらの姿がはっきり見えるはずだった。

(いやッ、みんな見ないで……! 誰もあたしに気づかないで……!)

 優香は騎馬が立ち上がるとすぐに再び胸を隠した。

「ねえ、もっとあっちの、列の真ん中の方に行ってくれない……?」
「なんでだよ、ここの方がいいじゃんか。あんな中央のごみごみしたところにいたら横から相手に挟み撃ちされんぞ」
「それはそうだけど、やっぱり、恥ずかしいから……」
「あ? なに今さら恥ずかしがってんだよ。もう朝からさんざん観客におま〇こ見せてきたじゃねえか。あのみっともないブルマーの切れ目から、ションベンまで洩らして……もう胸の一つや二つ見られたって別に恥ずかしいわけないだろ」

 その言葉に優香の顔は火が出るほど赤くなった。

(もう胸の一つや二つ……こんな大勢の観客の前で……恥ずかしいに決まってるじゃない……!)

「ねえ、お願い……スタートするまでの間だけでも、なるべく真ん中の方にいさせて。お願いだから……」

 優香はもうほとんど泣きそうな顔をして頼むのだった。

「ったく……しょうがねえなぁ! わかった移動してやるよ。でも、スタートのときだけだからな。スタートしてからは知らねえよ」

 優香はできればスタート後もずっと人込みの中に紛れていたいと思ったが、あまりわがままを言うと相手を怒らせてしまいそうなので、ここはとりあえず折れるしかなかった。

「うん、ごめんね。勝手なことばっか言って……」

 やがてグラウンド上の他の騎馬も次々と出来上がってゆき、段々と、競技開始の準備が整っていく。

 優香は腰から上が完全に突き出た騎馬の上で、不安げに、そのときを待ち構えていた。突き出た彼女の裸の上半身に、明るい秋の日差し、秋の乾いた風がまともに当たる。優香はもう一度自分の胸を見下ろして、乳首が腕からはみ出してしまっていないかを確認した。腕に押し潰され谷間の出来た大きな乳房……それは自分で見てもいやらしい映像だった。


 やがてピーッという笛の合図がスタートのときを知らせた。そして緊張と静寂の一瞬の後、ついにピストルが鳴らされ、騎馬戦がスタートした。

 ダーッと一斉に敵陣に突き進んでいく味方の騎馬たち。グラウンドの向こうからも、たくさんの騎馬がこちらへ勢いよく駆けてくる。

「よし、俺たちも行くぞ!」という男子の声とともに、優香たちの騎馬もスタートして走り出した。
  1. 2011/03/10(木) 08:54:04|
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優香 第十二章 11

 入場門にはすでに大勢の男子生徒が騎馬戦の開始を待って並んでいた。上半身裸の、太っていたり、痩せていたり、筋肉質だったりと、それぞれ異なる体だったが、骨格のたくましさ、肉の付き具合などは、やはり明らかに女子とは違っていた。

「ねえねえあれ、三井先輩じゃない? バスケ部のキャプテンだった」
「きゃー、ホントだ。胸の筋肉かっこいい~!」
「で、その隣は、長島先輩よね?」
「いや~ん! 細いけど、付くべきところにちゃんと肉が付いてて、ほら、あの割れた腹筋、触りた~い!」
「あんた後で触らせてもらいに行きなよ。先輩の腹筋、すりすりさせてくださいって」
「やだ~、恥ずかしい~! あんたが頼んでよね」
「え~、あたしだって恥ずかしい~!」

 などと、憧れの先輩の裸を遠目から観察する後輩の女子たちだった。

 ところで優香の所属する3年2組の男子には、その日ひとりの欠席者がいて、四人一組で作る騎馬が、一体作れないという状況になっていた。

「弱ったなー、これじゃひと組足りないことになるぜ」
「誰か代わりのやついないのかよ。後輩とか、誰でもいいから」
「そういえばさっき千夏が助っ人呼ぶとか言ってたぞ」
「千夏が? 助っ人?」
「でもそんなやつどこにもいねえじゃねえかよ。もうすぐ騎馬戦始まっちゃう……」

 と、そのとき、一人足りない騎馬についてあれこれ話し合っていた3年2組の男子のところに、顔を伏せ、胸を隠した一人の見慣れない生徒がやってきた。

「あの……騎馬戦に……参加するようにって……言われて……」

 その生徒はどうやら急いでやって来たらしく、肩でハアハア息をして、声も何だかうわずってしまっている。自分たちと同じように白い短パン、上半身裸の姿であるが、その体つきは、何だか妙な丸みを帯びていて、背も男にしてはかなり小さい。なんだ、弱っちい野郎だな、と2組の男子たちは等しく心の中で思ったが、期待外れの助っ人であるにしろ、とにかくいないよりは全然マシだ。

「お前が噂の助っ人ってやつか? 俺たちちょうど困ってたところだったんだ。助かるよ」

 と、そのとき横にいた一人の男子が、何かに気づいたらしく、その、助かると言った男子生徒の肱を突いて耳打ちした。

「おい、あれ、見ろよ……」

 と、彼がアゴで示した方を見てみると、その助っ人の、腕で隠した胸からは、明らかに女の、大きな、柔らかそうな乳房の肉が、細い腕では隠しきれずに、ぷりんとはみ出てみえていた。また、片方の胸などは(おそらく走ってきたために)もう完全に乳房が腕から飛び出てしまっていて、ピンク色の、咲き誇る乳輪、それからピンと突き立つ可愛らしい乳首が(何ともいやらしく)丸出しになって見えていた。

 やがて他の男子たちもそのことに気づき出し、不審と、興味と、欲情の渦が集団の中に広がっていった。

「おい、お前、田辺だろ? 俺たちの組の女子の田辺優香だろ?」

 するとたちまち『田辺優香』というその言葉がクラス中に広まっていく。

(優香? なんで田辺がこんなところにいるんだよ?)
(上半身裸だぜ。本気であの格好で騎馬戦やるつもりかよ)
(おっぱい丸見えじゃねえか。あれ、わざと見せてると捉えていいんだよな?)
(やべっ! おれ勃ってきた。こうなったらもう騎馬戦どころじゃねえぜ)

「なあ、もう一度聞くけど、お前、うちのクラスの田辺優香だよな?」

 と、相手が黙ったままだったので、先程の男子がもう一度問いかけた。

「いや、あたしは……あの……はぃ、そぅです……」

 顔を真っ赤にして答える優香。男子たちの興奮、欲情、いやらしい視線が、いまやすべて自分の体に注がれていることを彼女は感じた。

「なんで女子のお前が騎馬戦に参加するんだよ? これは男が出る競技だぜ」
「その……先生に、出ろって言われて……」
「お前先生に言われたら何でもやるのか? 言われたら上半身裸にでも全裸にでもなるっていうのかよ?」
「いえ……そんなことは……」
「だったら何で出るんだよ? お前、そんなこと言ってホントは自分で出たいと思って来たんだろ?」
「そ、そんなこ……」
「みんなの前で上半身裸になりたくて、それでそんな、乳まる出しの、エロい格好して来たんだろう?」
「え……? いやッ……!」

 言われて優香はやっと自分の片方の胸が腕からはみ出してしまっていることに気がついた。はみ出たピンク色の乳首を、慌てて腕で隠そうとするが、隠したと思ったら、今度はもう一方の乳首が出てしまうといった具合で、なかなか上手く隠し切れなかった。その様子を見つめていた男子生徒たちは、優香の大きな二つの胸が、目の前で、腕に押し潰されたり、ぷりんと腕から飛び出たり、ぷるぷる柔らかく揺れたりするたびに、からかいの奇声や口笛を発するのだった。

「ホントどうしようもない変態だよな」とやがて一人の男子が言った。
「先生に言われたからなんて嘘つかないで、やらしてくださいって最初から俺たちに頼めばよかったのに」
「う、嘘なんかじゃ……本当にあたし……」
「ハイハイ、わかったわかった。そういうことにしておいてやるよ。で、お前ホントに出るつもりなんだよな?」
「はぃ……」
「だったら俺たち別に断わりはしないぜ。ちょうど人数足りないで困ってたところだったんだから、出るって言うなら女でもジジイでも俺たち構わないわけだ」
「はぃ……あ、あの、できればあたしは、下で支える方にしてもらえませんか?」
「下……? お前は上に決まってんじゃん。女の力で支えられるかよ」
「でも……! あたし、こう見えても力はある方だし。三年間テニス部で……」
「ダメだな。やっぱり体重の軽い女のお前は上に乗った方がいい……それにさあ、お前、そんなぶかぶかの短パン穿いて、下で支えるとなると、やばいんじゃない? 両手ふさがっちまうんだから、そのうち脱げちまうぞ」

 その言葉に優香はハッとなった。相手の言った言葉はもっともだった。もし自分が騎馬の下になるとすると、両手はふさがってしまうことになり、ウエストの緩いこの短パンは、進んでいるうちにずるずる下へ、ずり下がって、下着を穿いていない自分の股間とお尻が、まる出しになったまま、それを直すこともできないだろう……

「あの……やっぱり上でお願いします……」

 と優香は言った。騎馬のもっとも目立つ上の乗り手に、自ら志願したという形になってしまった。

「よし、そうとなりゃ俺たち全力で助けるぜ!」
「ピンチのときは、すぐに行って守ってやるからな」
「お前は俺たちが守ってる隙を突いて相手のハチマキを奪うんだ、いいな?」
「は、はぃ……」

 自分を守ってくれるというその男子たちの熱意に満ちた言葉や態度に、優香は感謝の気持ちを抱くとともに、何だかわからない悪い予感を、感じずにはいられなかった。

 そしてその悪い予感は、この後、見事的中することになる。


 やがてグラウンドのマイクが、選手入場のアナウンスを高らかに響かせる。
  1. 2011/03/09(水) 20:40:31|
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優香 第十二章 10

 ついに騎馬戦に参加することを決意した優香。短パン、ハチマキ、上半身裸で、これからグラウンドへ向かっていかなければならないわけだ。

 優香は右手で短パンのウエストを、ずり下がらないようにしっかり押さえる。そして左腕で上半身裸の胸を、大きく膨らんだ二つの乳房を、それとわからないよう何とか隠す(遠目に男子生徒として見えることを願いながら)。

 そうして準備が整ったらようやく出発。この校舎の裏のひと気のない通路から、人の大勢いるグラウンドへと、飛び込んで行く覚悟を心に決めて。

 優香はまず通路の奥の校舎の横手へ出る場所へ進んでいった。そこの生け垣の後ろに身を隠して、前方の、校門とグラウンドを繋ぐアスファルトの通りの様子を窺った。

 そこにはやはり道を行き来する観客が、絶え間なく、グラウンドの方へ消えてはまた現われた。いずれも秋ののどかな一日に行なわれる高校の体育祭を観に、平和そのものの表情をして笑ったり喋ったりしながら歩いている。その平和な光景の真っ只中に、いまから自分は、上半身裸のこの姿で、飛び出して行くのだ。人々の平和な顔が自分の姿を見て突如凍りつくかもしれないと思うと、優香の決心は再び揺らぎ出す。

(いや、大丈夫……! 走っちゃえば気づかれはしないわ。全速力で、新幹線みたいに速く走れば、体の輪郭はたぶんぼやけて見えるだろう、たぶん……)

 そう再び決心すると、優香はその、新幹線みたいに速く走り出す(そんなことが可能ならば)タイミングを、生け垣の裏から、じっと窺っていた。

 数分後、ついにそのタイミングはやってきた。それはある意味これ以上ない最高のタイミングといえた。飛び出そうとしているその道に、そのとき突如上半身裸の男子生徒三人組が現われたのだ。紛れもなく優香と同じ格好の、騎馬戦に参加する男子生徒たち。日焼けしたたくましい背中を三つ並べてグラウンドの方へ向かって歩いていく。他に通行人はたくさんいたが、飛び出すなら今しかない、優香はそう思った。今ならあの三人の裸が、自分の裸を(色が白くて華奢ではあるが)違和感なくしてくれるだろう。

 優香はそう思うと同時に生け垣の後ろから立ち上がり、スタートの体勢を整える。そして左腕でしっかり乳房を押さえ直すと(うっかり片方の乳首がはみ出てしまっていたからだ)、ついに表へ向かって駆け出した。

(お願い……! 誰も気づかないで……!)

 新幹線、いや、自分の中ではジェット機よりもなお速く優香は走った。そのせいでせっかく押さえ直した片方の乳首が、乳房もろとも、ぷりんと外にはみ出てしまったが、夢中で走る優香は自分でそのことにまったく気づかなかった。今はとにかく速く走ること、速く走って自分の姿をぼやけさせること……優香の頭はその考えでいっぱいだった。だから自分の肩まで伸びるツヤのある髪が、女性らしく後ろへサラリとなびいていることにも気づかなかった。

 が、その優香の姿を見た人々の実際の反応はどうだったかというと、人間の抱く先入観とは単純なもので、この目の前に突如現われ、背中を見せながら走り去っていく、白い短パン姿の、上半身裸の生徒を見て、これはその同じ道を歩いている裸の三人と同じ男子生徒だろうと勝手に思い込んでしまった。まさかそれが女子生徒だとは夢にも思わなかった。まあ、それも当然といえば当然の話で、上半身裸の女子生徒がいきなり自分の前に飛び出してくるなんて、にわかには信じられないことである。

 もうすぐ始まる騎馬戦の、その集合場所へ向かって歩いていた男子生徒三人は、いま猛スピードで自分たちを追い抜き、走り去っていく、上半身裸の生徒の背中を見て、話し出した。

「あれ、あんなやつ3年にいたっけ?」
「さあ、速くてわかんねえや」
「細っせ~体! 女みてえな野郎だな」
「長髪で、後ろから見たら完全女だよな」
「あんなやつ、騎馬戦始まったら真っ先に叩き潰してやんよ」
「おいおい、あんまり無茶して怪我させるなよ……」
「わかってるよ、冗談だよ、ハハハッ」
「だよな、ハハハッ……」

 こうして、上半身裸でグラウンドへ向かって行った優香は、自分が女であることを一応誰からも気づかれることなく、まずは順調に滑り出した……といえるだろう。

 しかし言うまでもなく、地獄の入口、そして本当の地獄が、このすぐ後に、彼女を待ち受けているわけである。
  1. 2011/03/08(火) 20:58:07|
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優香 第十二章 9

 紙袋の底から優香が最後に見つけ出したもの、それは騎馬戦に参加するよう命令した田崎からの手紙だった。しかし、その同じ紙袋に入っていた衣服といえば、男子用の短パンと、赤いハチマキの二つだけ。もし出場するとしたならば、体操着を失った現在の全裸の優香には、他に着るものは何もない。

 優香は校舎の裏のひと気のない通路にしゃがみ込んだまま、膝に顔を埋め、しばらく何を考えるでもなく、絶望に心を浸し切っていた。

 そのまま数分が過ぎ去った。

 と、やがて彼女の耳に、遠くグラウンドの方から、高らかに響き渡るアナウンスの声が聞こえてきた。

「午前中最後の競技、騎馬戦に参加する3年生男子は、シャツを脱いで入場門に集合してください」

 優香はハッと顔を上げた。

(行かなきゃ……でも……)

 そして不安な眼差しで持っていた白い短パンの方を見る。これを穿いてグラウンドへ行くのだ。男子生徒用の体操服。だがシャツはない。つまり他の男子生徒同様上半身裸の状態で、グラウンドへ行き、男子生徒たちと一緒に騎馬戦に参加しなければならないのだ。しかし自分は彼ら男子生徒たちとはある点において決定的に違っていた。彼らは男で、上半身裸の姿を人から見られたところで特に何とも思わないだろうが、女である自分は、この大きく膨らんだ二つの胸を、一体どうしたらいいんだろう……?

(行けない、絶対に……行けるわけがない……!)

 しかしこのまま参加しないとなると、彼女の身にはさらなる悲劇が待っている。怒り狂う田崎に探し出され(どこに隠れていようと必ず見つけ出してしまうだろう)そして裸のまま、力ずくで、無理やりグラウンドへ引っ張っていかれることになるだろう。観客生徒全員の前に、一糸まとわぬ姿で、露出狂として、連行されてしまうことになるのだ。

 それだけは何としても避けなくてはならない。朝からさんざん彼女の醜態を見続けてきた観客に、体操服を失くした(田崎によって盗まれた)などという彼女の言葉が、果たして信じられるだろうか? いや、信じるはずがない。信じるどころか、むしろ全裸で田崎に引っ張られてくる彼女の姿を見て、露出狂の、動かしがたい証拠を、そこに発見することになるだろう。

 優香に残された選択肢は二つしかなかった。

 つまりこのままここ(あるいは屋上に、トイレの個室に、いや、どこだって同じだ)に隠れて、やがて見つけ出されて全裸でグラウンドに連れて行かれるか(露出狂として)。またはこの白い短パンを穿いて、同じ上半身裸の男子生徒の集団に紛れて、騎馬戦に参加するか。どちらが懸命な判断と言えようか?

 明らかに後者の選択肢だった。

 男子の集団の中にいればあるいは(少なくとも)観客席からは、そこに女子が一人紛れ込んでいることがわからないかもしれない。騎馬戦という絶えず大勢が動き回っている激しい競技の中で、その中に同じ格好をした女子生徒が一人くらいいたところで、遠目にはわからないのではないだろうか?

 突如頭に浮かんだこのわずかな可能性に、優香はすがってみたい気持ちになった。いや、もはやこの可能性にすがるしか道は残されていなかった。

 優香はそれでもまだしばらくこの可能性についてあれこれ吟味して迷っていたが、やがて決心して立ち上がると、先程からずっと手に持って眺めていた、その男子用の白い短パンに、おそるおそる足を通した。

 長らく全裸でいた優香には、久しぶりに穿いた衣服の感触が温かかった。また朝から穿き続けてきた切れ目入り極小サイズのブルマーとも違って、お尻は隠れる、股間も、もはやむき出しになっていないこの短パンの生地の大きさは彼女に予想外の安堵を与えた。

 しかし、続いてハチマキを巻こうと両手を頭に持っていった彼女は、ふとある事実に気がついた。

 短パンの腰から両手を離した途端、それがずり下がってくるではないか。

 優香はずり下がった短パンを急いで上へ持ち上げる。と、再び両手を離した途端に、それはゆっくり下へずり下がる。明らかに、それはサイズが大きかった。あるいはウエストのゴムが伸びていた。

 優香は短パンがずり下がらないよう地面に座ってハチマキを巻いた。そして立ち上がると、短パンのウエストを持ってずり下がらないようにした。ちょっとでも手を離すと、短パンはすぐに腰まで下がって、お尻の割れ目が丸見えになってしまう。つまり常に手で押さえていなければならないのだった。しかし言い換えれば、押さえてさえいれば(そのために片方の手が犠牲になってしまうが)ずり下がる心配はないわけだった。

 優香は不安な思いを抱きはしたものの、常にどちらかの手で押さえていれば大丈夫だと自分に言い聞かせて、不安を追い払ったが、後にこのことが、取り返しのつかない恥辱となって彼女に襲いかかってこようとはまだ知るよしもなかった。

 グラウンドへ向かう前に、首輪とビデオカメラを処分するという仕事がまだ彼女には残っていた。

 どう処分したものかとしばらく思案していたが、他にいい案が見つからないので、とりあえず生け垣の地面の土を少し掘ってそこに埋めておくことにした。今はとりあえずここに隠しておいて、後でまたじっくり考えればいいだろう。念のためビデオカメラは石に叩きつけてメモリーと思われる個所を壊しておいた。

(ふう……)作業を終えた優香はホッと一息。(これでひとまず安心かな……?)

 これで、心置きなく、グラウンドへ向かえるわけだった。
  1. 2011/03/08(火) 08:24:00|
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優香 第十二章 8

 走り去る少年を見送る優香。しかしその心は、少年から受け取った紙袋のことで、不安でいっぱいになっていた。

(なんだろう……?)

 やがて少年の姿が見えなくなると優香は思った。そして紙袋をちょっと持ち上げてみて、その重さを確かめる。

 軽い。まるで何も入ってないようだ。

 しかしわざわざ子供を使ってまでして届けたのだから、何もないなんてことはあり得ない。何かしら、必ず、この紙袋の中に、入っているはずだ。

 そう思うと優香は意を決して紙袋の中を覗き込んだ。それがどんなものであれ、いまの素っ裸の状態よりはマシだと思ったからだった。胸も性器もまる見えの、この生まれたままの姿よりは……

 白い衣服のようなものがまず見えた。それを見た優香は、何であれ中身が衣服であったことに、とりあえずホッとする。

 そして紙袋の中にそっと手を入れ、その、白い布製の衣服をおそるおそる取り出した。

 優香は一瞬ハテナと思った。彼女がおそるおそる取り出したその白い衣服とは、この学校の、男子生徒用の、白い短パンだったからである。特に細工が施されているわけでもない、標準サイズの、白い短パン……

(なんで男子の短パンが……?)

 と不思議に思いながらも、優香は紙袋の中にまだ何か入っていないかと思って手を突っ込む。

 続いて彼女が取り出したのは、赤いハチマキ。使い古され、少し色褪せた、だが何一つ変わったところのない学校の備品のハチマキだった。

(ハチマキ……? どうしてハチマキなんだろう……?)

 しかし考えている暇はない。そして紙袋の中に残っている物をさっさと取り出そうとする。

 が、それで終わりだった。紙袋の中に入っていたものは、その二つですべてだった。いや、底の方に、微かな紙の手触り……優香は顔青ざめながら、その一枚の紙切れを取り出した。

 それは彼女に宛てた手紙だった。鉛筆で簡単に次のように書かれていた。

『もうすぐ騎馬戦が始まる。これを着て参加するように。もし不参加だった場合は、教師生命のすべてを賭けて、お前を探し出し、裸のまま、グラウンドへ連れていく』

 そして手紙の最後のところには『田崎』という署名が、はっきり大きく書かれていた。

 優香は頭が真っ白になった。体の力が抜け、そのまま地面にしゃがみ込んだ。そうして、しばらくそのままの体勢で、膝の中に顔を埋め、目を閉じて暗闇に心を浸していた。

 その手には、男子用の白い短パンと、騎馬戦用の赤いハチマキが、今ははっきり理由がわかったうえで、力なく握られていた。
  1. 2011/03/07(月) 08:21:06|
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