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羞人たち

趣味で書いた羞恥小説 18禁です。

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優香 第十二章 11

 入場門にはすでに大勢の男子生徒が騎馬戦の開始を待って並んでいた。上半身裸の、太っていたり、痩せていたり、筋肉質だったりと、それぞれ異なる体だったが、骨格のたくましさ、肉の付き具合などは、やはり明らかに女子とは違っていた。

「ねえねえあれ、三井先輩じゃない? バスケ部のキャプテンだった」
「きゃー、ホントだ。胸の筋肉かっこいい~!」
「で、その隣は、長島先輩よね?」
「いや~ん! 細いけど、付くべきところにちゃんと肉が付いてて、ほら、あの割れた腹筋、触りた~い!」
「あんた後で触らせてもらいに行きなよ。先輩の腹筋、すりすりさせてくださいって」
「やだ~、恥ずかしい~! あんたが頼んでよね」
「え~、あたしだって恥ずかしい~!」

 などと、憧れの先輩の裸を遠目から観察する後輩の女子たちだった。

 ところで優香の所属する3年2組の男子には、その日ひとりの欠席者がいて、四人一組で作る騎馬が、一体作れないという状況になっていた。

「弱ったなー、これじゃひと組足りないことになるぜ」
「誰か代わりのやついないのかよ。後輩とか、誰でもいいから」
「そういえばさっき千夏が助っ人呼ぶとか言ってたぞ」
「千夏が? 助っ人?」
「でもそんなやつどこにもいねえじゃねえかよ。もうすぐ騎馬戦始まっちゃう……」

 と、そのとき、一人足りない騎馬についてあれこれ話し合っていた3年2組の男子のところに、顔を伏せ、胸を隠した一人の見慣れない生徒がやってきた。

「あの……騎馬戦に……参加するようにって……言われて……」

 その生徒はどうやら急いでやって来たらしく、肩でハアハア息をして、声も何だかうわずってしまっている。自分たちと同じように白い短パン、上半身裸の姿であるが、その体つきは、何だか妙な丸みを帯びていて、背も男にしてはかなり小さい。なんだ、弱っちい野郎だな、と2組の男子たちは等しく心の中で思ったが、期待外れの助っ人であるにしろ、とにかくいないよりは全然マシだ。

「お前が噂の助っ人ってやつか? 俺たちちょうど困ってたところだったんだ。助かるよ」

 と、そのとき横にいた一人の男子が、何かに気づいたらしく、その、助かると言った男子生徒の肱を突いて耳打ちした。

「おい、あれ、見ろよ……」

 と、彼がアゴで示した方を見てみると、その助っ人の、腕で隠した胸からは、明らかに女の、大きな、柔らかそうな乳房の肉が、細い腕では隠しきれずに、ぷりんとはみ出てみえていた。また、片方の胸などは(おそらく走ってきたために)もう完全に乳房が腕から飛び出てしまっていて、ピンク色の、咲き誇る乳輪、それからピンと突き立つ可愛らしい乳首が(何ともいやらしく)丸出しになって見えていた。

 やがて他の男子たちもそのことに気づき出し、不審と、興味と、欲情の渦が集団の中に広がっていった。

「おい、お前、田辺だろ? 俺たちの組の女子の田辺優香だろ?」

 するとたちまち『田辺優香』というその言葉がクラス中に広まっていく。

(優香? なんで田辺がこんなところにいるんだよ?)
(上半身裸だぜ。本気であの格好で騎馬戦やるつもりかよ)
(おっぱい丸見えじゃねえか。あれ、わざと見せてると捉えていいんだよな?)
(やべっ! おれ勃ってきた。こうなったらもう騎馬戦どころじゃねえぜ)

「なあ、もう一度聞くけど、お前、うちのクラスの田辺優香だよな?」

 と、相手が黙ったままだったので、先程の男子がもう一度問いかけた。

「いや、あたしは……あの……はぃ、そぅです……」

 顔を真っ赤にして答える優香。男子たちの興奮、欲情、いやらしい視線が、いまやすべて自分の体に注がれていることを彼女は感じた。

「なんで女子のお前が騎馬戦に参加するんだよ? これは男が出る競技だぜ」
「その……先生に、出ろって言われて……」
「お前先生に言われたら何でもやるのか? 言われたら上半身裸にでも全裸にでもなるっていうのかよ?」
「いえ……そんなことは……」
「だったら何で出るんだよ? お前、そんなこと言ってホントは自分で出たいと思って来たんだろ?」
「そ、そんなこ……」
「みんなの前で上半身裸になりたくて、それでそんな、乳まる出しの、エロい格好して来たんだろう?」
「え……? いやッ……!」

 言われて優香はやっと自分の片方の胸が腕からはみ出してしまっていることに気がついた。はみ出たピンク色の乳首を、慌てて腕で隠そうとするが、隠したと思ったら、今度はもう一方の乳首が出てしまうといった具合で、なかなか上手く隠し切れなかった。その様子を見つめていた男子生徒たちは、優香の大きな二つの胸が、目の前で、腕に押し潰されたり、ぷりんと腕から飛び出たり、ぷるぷる柔らかく揺れたりするたびに、からかいの奇声や口笛を発するのだった。

「ホントどうしようもない変態だよな」とやがて一人の男子が言った。
「先生に言われたからなんて嘘つかないで、やらしてくださいって最初から俺たちに頼めばよかったのに」
「う、嘘なんかじゃ……本当にあたし……」
「ハイハイ、わかったわかった。そういうことにしておいてやるよ。で、お前ホントに出るつもりなんだよな?」
「はぃ……」
「だったら俺たち別に断わりはしないぜ。ちょうど人数足りないで困ってたところだったんだから、出るって言うなら女でもジジイでも俺たち構わないわけだ」
「はぃ……あ、あの、できればあたしは、下で支える方にしてもらえませんか?」
「下……? お前は上に決まってんじゃん。女の力で支えられるかよ」
「でも……! あたし、こう見えても力はある方だし。三年間テニス部で……」
「ダメだな。やっぱり体重の軽い女のお前は上に乗った方がいい……それにさあ、お前、そんなぶかぶかの短パン穿いて、下で支えるとなると、やばいんじゃない? 両手ふさがっちまうんだから、そのうち脱げちまうぞ」

 その言葉に優香はハッとなった。相手の言った言葉はもっともだった。もし自分が騎馬の下になるとすると、両手はふさがってしまうことになり、ウエストの緩いこの短パンは、進んでいるうちにずるずる下へ、ずり下がって、下着を穿いていない自分の股間とお尻が、まる出しになったまま、それを直すこともできないだろう……

「あの……やっぱり上でお願いします……」

 と優香は言った。騎馬のもっとも目立つ上の乗り手に、自ら志願したという形になってしまった。

「よし、そうとなりゃ俺たち全力で助けるぜ!」
「ピンチのときは、すぐに行って守ってやるからな」
「お前は俺たちが守ってる隙を突いて相手のハチマキを奪うんだ、いいな?」
「は、はぃ……」

 自分を守ってくれるというその男子たちの熱意に満ちた言葉や態度に、優香は感謝の気持ちを抱くとともに、何だかわからない悪い予感を、感じずにはいられなかった。

 そしてその悪い予感は、この後、見事的中することになる。


 やがてグラウンドのマイクが、選手入場のアナウンスを高らかに響かせる。
  1. 2011/03/09(水) 20:40:31|
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