2ntブログ

羞人たち

趣味で書いた羞恥小説 18禁です。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

優香 第十二章 9

 紙袋の底から優香が最後に見つけ出したもの、それは騎馬戦に参加するよう命令した田崎からの手紙だった。しかし、その同じ紙袋に入っていた衣服といえば、男子用の短パンと、赤いハチマキの二つだけ。もし出場するとしたならば、体操着を失った現在の全裸の優香には、他に着るものは何もない。

 優香は校舎の裏のひと気のない通路にしゃがみ込んだまま、膝に顔を埋め、しばらく何を考えるでもなく、絶望に心を浸し切っていた。

 そのまま数分が過ぎ去った。

 と、やがて彼女の耳に、遠くグラウンドの方から、高らかに響き渡るアナウンスの声が聞こえてきた。

「午前中最後の競技、騎馬戦に参加する3年生男子は、シャツを脱いで入場門に集合してください」

 優香はハッと顔を上げた。

(行かなきゃ……でも……)

 そして不安な眼差しで持っていた白い短パンの方を見る。これを穿いてグラウンドへ行くのだ。男子生徒用の体操服。だがシャツはない。つまり他の男子生徒同様上半身裸の状態で、グラウンドへ行き、男子生徒たちと一緒に騎馬戦に参加しなければならないのだ。しかし自分は彼ら男子生徒たちとはある点において決定的に違っていた。彼らは男で、上半身裸の姿を人から見られたところで特に何とも思わないだろうが、女である自分は、この大きく膨らんだ二つの胸を、一体どうしたらいいんだろう……?

(行けない、絶対に……行けるわけがない……!)

 しかしこのまま参加しないとなると、彼女の身にはさらなる悲劇が待っている。怒り狂う田崎に探し出され(どこに隠れていようと必ず見つけ出してしまうだろう)そして裸のまま、力ずくで、無理やりグラウンドへ引っ張っていかれることになるだろう。観客生徒全員の前に、一糸まとわぬ姿で、露出狂として、連行されてしまうことになるのだ。

 それだけは何としても避けなくてはならない。朝からさんざん彼女の醜態を見続けてきた観客に、体操服を失くした(田崎によって盗まれた)などという彼女の言葉が、果たして信じられるだろうか? いや、信じるはずがない。信じるどころか、むしろ全裸で田崎に引っ張られてくる彼女の姿を見て、露出狂の、動かしがたい証拠を、そこに発見することになるだろう。

 優香に残された選択肢は二つしかなかった。

 つまりこのままここ(あるいは屋上に、トイレの個室に、いや、どこだって同じだ)に隠れて、やがて見つけ出されて全裸でグラウンドに連れて行かれるか(露出狂として)。またはこの白い短パンを穿いて、同じ上半身裸の男子生徒の集団に紛れて、騎馬戦に参加するか。どちらが懸命な判断と言えようか?

 明らかに後者の選択肢だった。

 男子の集団の中にいればあるいは(少なくとも)観客席からは、そこに女子が一人紛れ込んでいることがわからないかもしれない。騎馬戦という絶えず大勢が動き回っている激しい競技の中で、その中に同じ格好をした女子生徒が一人くらいいたところで、遠目にはわからないのではないだろうか?

 突如頭に浮かんだこのわずかな可能性に、優香はすがってみたい気持ちになった。いや、もはやこの可能性にすがるしか道は残されていなかった。

 優香はそれでもまだしばらくこの可能性についてあれこれ吟味して迷っていたが、やがて決心して立ち上がると、先程からずっと手に持って眺めていた、その男子用の白い短パンに、おそるおそる足を通した。

 長らく全裸でいた優香には、久しぶりに穿いた衣服の感触が温かかった。また朝から穿き続けてきた切れ目入り極小サイズのブルマーとも違って、お尻は隠れる、股間も、もはやむき出しになっていないこの短パンの生地の大きさは彼女に予想外の安堵を与えた。

 しかし、続いてハチマキを巻こうと両手を頭に持っていった彼女は、ふとある事実に気がついた。

 短パンの腰から両手を離した途端、それがずり下がってくるではないか。

 優香はずり下がった短パンを急いで上へ持ち上げる。と、再び両手を離した途端に、それはゆっくり下へずり下がる。明らかに、それはサイズが大きかった。あるいはウエストのゴムが伸びていた。

 優香は短パンがずり下がらないよう地面に座ってハチマキを巻いた。そして立ち上がると、短パンのウエストを持ってずり下がらないようにした。ちょっとでも手を離すと、短パンはすぐに腰まで下がって、お尻の割れ目が丸見えになってしまう。つまり常に手で押さえていなければならないのだった。しかし言い換えれば、押さえてさえいれば(そのために片方の手が犠牲になってしまうが)ずり下がる心配はないわけだった。

 優香は不安な思いを抱きはしたものの、常にどちらかの手で押さえていれば大丈夫だと自分に言い聞かせて、不安を追い払ったが、後にこのことが、取り返しのつかない恥辱となって彼女に襲いかかってこようとはまだ知るよしもなかった。

 グラウンドへ向かう前に、首輪とビデオカメラを処分するという仕事がまだ彼女には残っていた。

 どう処分したものかとしばらく思案していたが、他にいい案が見つからないので、とりあえず生け垣の地面の土を少し掘ってそこに埋めておくことにした。今はとりあえずここに隠しておいて、後でまたじっくり考えればいいだろう。念のためビデオカメラは石に叩きつけてメモリーと思われる個所を壊しておいた。

(ふう……)作業を終えた優香はホッと一息。(これでひとまず安心かな……?)

 これで、心置きなく、グラウンドへ向かえるわけだった。
  1. 2011/03/08(火) 08:24:00|
  2. 優香
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<優香 第十二章 10 | ホーム | 優香 第十二章 8>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://syuujins.blog.2nt.com/tb.php/90-4f230d61
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)