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羞人たち

趣味で書いた羞恥小説 18禁です。

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優香 第十二章 3

 消えた体操服を取り戻そうと、ついに意を決して屋上を後にした優香。しかしやがて校内を捜索し始めた彼女の身には、靴下と上履き以外、何の衣服も着ていなかった。つまり胸もお尻も股間も丸出しの全裸、生まれたままの姿で、体育祭真っ只中の学内を歩かなければならないのだった。

(どうしよう……もし人に見つかったら)

 優香は階段を降りながら考える。片手で胸を、片手で股間を隠しつつ、おそるおそる一段一段を降りて行き、その曲がり角ごとに下から人がやってこないか、また廊下に誰かいないか、をしばらく窺うのだった。だからそちらの警戒に注意を払うあまり、手は胸を隠しきれておらず、押さえる腕からはピンク色の乳首が始終はみ出し通しだった。また股間のガードも甘いようで、隠しているつもりの手の指の隙間から、無毛の丘と割れ目が絶えず見え隠れしているのだった。そして当然のことながら後ろ側は完全なお留守で、恥ずかしさに微かに赤らんだお尻は隠しようもなく露出しているのだった。階段を伝う風が容赦なくその露出した股間からお尻へと吹き渡る。

(どうしてこんな目に合わなくちゃならないの……裸で、学校の校舎の中を、歩くなんていう目に……)

 優香は悔しさに唇を噛み締めるが悔しがったところでどうにもならない。今は一刻も早く自分の消えた体操着を、昼休みに生徒たちが戻ってくる前に、見つけ出さなければならなかった。それ以外に助かる道はないのだ。もし自分が見つけ出す前に生徒の誰かに発見されでもしたならば、教室にも更衣室にも鍵が掛かっている現在、自分にはもはや何も着るものがなくなってしまう。つまりこのまま全裸で校内をさまよい続けなければならなくなるのだ。

(それだけは絶対に防がないと、何としても見つけ出さないと……うん、よし、がんばらなくちゃ)

 優香は決意を新たにして歩き続けた。


 幸い今の時間校舎の中には誰も人はいなかった。生徒も教員もみんなグラウンドの方へ出ているので当然といえば当然だった。保護者や観客は校舎には立ち入り禁止になっている、というか、もとより彼らは校舎の方には何の用もない、ただ一人のカメラ小僧を除いては……

 二階の踊り場にたどり着いたときだった。そのとき突然、ビデオカメラを持った男の姿が、真下の廊下に現われた。

「そんな格好で何してるのかな?」と男は言った。当然カメラのレンズを優香に向けて、よだれを垂らさんばかりに口元をにやにやさせながら。

「いやーッ!」

 突然のことにびっくりして優香は思わず悲鳴を上げた。そして自分の裸を撮影されていることを知ると、両腕で胸を隠してその場にしゃがみ込んだ。

「いやっ、撮らないで! 何でこんなところにいるんですか!」
「それはこっちのセリフだよ。君の方こそどうしてこんなところにいるのかな、まだ体育祭の途中なのに、それに、へへ、そんないやらしい姿でね。ちゃんと撮ったよ、君の乳首、キレイなピンク色の、それから下の、毛の生えてない、お・ま……」

「やめてーッ!」優香は聞こえないよう目を閉じて首を振る。続いて顔を上げると、泣き顔で男をキッと睨みつけると――「すぐに立ち去ってください。関係者以外立ち入り禁止ですよ!」

 しかし男は優香にカメラのレンズを向け続ける。また、立ち去るどころか、階段を一歩一歩のぼってこちらへやってくる。

「来ないで! 人を呼びますよ」
「呼んでごらん、君がその方がいいというならね。校舎の外へ逃げて大声で叫べばいいんだ、僕はとめないよ。でも、君の声を聞いて急いで駆けつけてくる人たちは一体何て思うだろうね。裸の君が(もう今朝からさんざん裸同然の姿をみんなに晒してきている君が)、グラウンドへ胸をぷるぷる揺らしながら現われたとしたら。きっと頭がおかしくなったと思うだろうね。いや、もう充分おかしかったけど、ついに完全に狂ってしまったと、へへ、思うんじゃないかな」
「……」
「ほら、呼んでごらんよ。なんなら服を着てからだっていいんだよ。もし着る服があればの話だけど……君のあの体操着はどうしたの? あの透け透けのTシャツと、おマタに切れ目の入ったブルマ……」

 言いながら男はどんどん優香の方へ歩み寄り、そしてついには優香のしゃがんでいる真ん前まで来てしまった。

「ほらほら、早くしないとどんどん撮られちゃうよ。両腕からはみ出る大きなおっぱい、それから丸見えの大事なおま〇こ……ねえ、ちゃんと足閉じてしゃがんでいないと、ほら、まる見えになってるよ」

 事実、動揺して胸を隠すことばかりに気を取られていた優香はしゃがみながら足をちゃんと閉じておらず、それによってかえって立っているときよりも、股間をむき出しに露出させ、割れ目をぱっくり開かせているのだった。そしてそのぱっくり開いたおま〇こを、男は階段を上っている間ずっとカメラで撮り続けていたのだった。

 そのことに気づいた優香はさらなるパニックに陥った。

「いやぁぁっ!」

 そして急いで靴を合わせ足をぴったり閉じようとしたが、あまりの動揺、急な動作のために、バランスを崩してしまい、そのまま踊り場の床に尻餅をつくと、ごろんと仰向けに倒れて両手、両足を大きく開いて大の字になった。

「おお、大きなおっぱい、やっと見れたぞ。そうかそうか、やっぱり撮って欲しかったんだね。何も頼んでないのに自分から見せてくれるなんて。へへ、そうか、やっぱり露出狂だったんだ」

「違います、あたし露出狂なんかじゃ……」

 すぐに立ち上がり、再び手で胸と股間を隠した優香はそう呟くと、サッと振り返り階段を上って逃げ出した。

「おや、どこ行くのー? 玄関はそっちじゃないよ」

 言いながら追ってくる男。優香はもうなりふり構わず両手を離すと、背後に迫る男を振り切ろうと全力で階段を駆け上った。その丸見えのお尻をカメラで撮り続ける男。

「いいねいいねー。大きくて、でも引き締まったお尻。ほら、もっと腰振って、イチ、ニ、イチ、ニ!」

 しかしつい数ヶ月前まで運動部で鍛えられていた優香の脚力である。日頃から運動不足の男はすぐに息を切らして歩き出してしまった。そしてその間に、逃げる優香は男を引き離して階段を上へ上へとどんどん上がっていく。

 そしてついにさっきまでいた屋上のドアが見えた。優香はそこへ向かいながらちょっと後ろを振り返る。大丈夫、男は付いて来ていない。屋上へ出てドアの鍵を閉めるだけの余裕は充分にある。

「ちょっとー、待ってよー」と下から男の息切れした声が響いてきた。

 優香は最後の数段を急いで駆け上がり、ついに屋上のドアの前にたどり着いた。

 そしてそのドアの取っ手を掴んで回す。

 が、ドアはびくともしなかった。押しても引いても、ドアはまったく開かなかった。まるで中から鍵が掛かっているとでもいうように……

 優香の顔が青ざめていく。

(う、うそ……そんなはずは……)

 しかしドアはやっぱり開かない。そしてそうしているうちに遅れていた男の足音がゆっくりとこちらへ迫ってくる。

(なんで、ねえ、何で開かないの!)

 理由は単純なことだった。そう、つまり屋上に人がいて鍵が掛かっているのだった。でも一体誰なのか? そう、そんなことをする人間は他にいるはずがない。千夏である。千夏が、先程からの二人のやり取りを窺っていて、やがて優香が屋上へ逃げて来ることを予測してそれをあらかじめ阻止しておこうとしたのだった。千夏の予想は的中した。そして、ドアの向こうに締め出された優香は、もうどこへも逃げ込む場所もなく、全裸で、男のやってくるのを待っているしかない。

 なお、このカメラ小僧の出現は千夏の予定にはなかったことだった。いわばちょっとしたハプニング、予想外のちょっとした応援といったところだろう。

 しかしそのちょっとしたハプニングが、身を隠す布切れ一枚ない全裸の優香を地獄のどん底へと突き落とすことになるのだった。
  1. 2011/03/05(土) 08:44:45|
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